第四話 激闘
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とはまではいかないが勝てる。そう自分を鼓舞する。
ドンッと地響きをたて、軽く砂埃が舞った場所を見てみればシャクレノドンが威風堂々と佇んでいた。
そして口に咥えていた獲物をゆっくりと地面に横たえる。乱雑にしない所から見るに獲物に敬意を称してるのか、それとも俺に対して余裕を見せているのかは分からない。
どんな獲物を仕留めたのかと気になり見てみると……あれはバロンタイガー!? それもただのバロンタイガーじゃない
あの傷跡は……間違いなく俺の目的だったあのバロンタイガーだった
あの時、堂々と森を横行闊歩していた姿は今は見る影もなく絶命している。あいつが負けた?だとしたらこのシャクレノドンはどれだけ……。
ふと気がつくと自分が震えているのが分かる。しかし、それは恐怖によるものではなく武者震いだ。そう、あの時勝てる気がしなかったバロンタイガーにすら勝利したこいつ相手に俺は……勝てるとさえ思っている。
わずか二週間ばかりでここまで強くなった自分自身に歓喜している。この力をぶつけたいと、そしてこいつを喰らいたいと思っている。
思わず口元がニヤケて釣り上がる。しかし、頭は冷静に。この感覚は懐かしい。昔喧嘩を手伝っていたとき友人に言われたことを思い出す。こういうときの俺の顔は冷たくニヒルである意味俺より怖いってね。多分今の俺はそんな表情をしてるのだろう。
――――さぁ、狩りの時間だ。殺して解して並べて揃えて喰らってやるよ。
side out
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
百五十センチにも満たない少年と対峙しているのは五メートルを越す巨大なシャクレノドン。常人ならまず目を疑う光景。しかし少年は逃げ出そうともせず堂々と毅然とした態度でいる。そんな小さな獲物にも関わらず相手の獣は対等な相手とばかりに獰猛に威嚇を繰り返している。
この場を明らかに支配している一人と一匹の緊迫した空気にあてられてか周囲に隠れ潜んでいた動物達は巻き添えを食うまいと慌てて逃げ出している。このことからこの場には彼ら以上の強者はいなかったのだろう。
そして最後の一匹が逃げ出した際に木の枝が折れて地に落ちる。
その落下音が静寂とした場に新たな展開を告げる合図となった。
―――瞬間、両者共に動き出した。
シャクレノドンはその巨体を生かし前傾姿勢から突撃を駆ける。対して少年は真っ向勝負では不利と即座に判断し冷静にカウンターを狙う。強靭な足腰から繰り出される巨躯な体当たりは常人なら避けれることなく一瞬で死を迎えるだろう。
しかしその少年は常人とはかけ離れた身体能力を駆使してギリギリの回避に成功した。あえて際どい避け方をし
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