第七話 疾風の槍兵
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えが止まらなかった。
今まで感じたことのないような死の恐怖。
私は思った。
殺されると。
今、私はキリトやセイバーさんの後ろに隠れている。
セイバーさんは必死で目の前の敵に立ち向かい、キリトも私が巻き込まれないように守ってくれている。
だけど、セイバーさんが吹き飛ばされ、同じように私の目の前からキリトが蹴り飛ばされた。
怖い
それが今の私の率直な感想。
目の前の敵は明らかに私とは違う。
“死”そのもの。
このままではキリトもセイバーさんもあの“死”に呑み込まれてしまう。
男に吹き飛ばされたキリトは、必死に私に目を向けて何かを私に伝えた。
口だけが動いて、なんて言ってるのかは聞き取れなかった。
だけど口の動きだけで何とか理解しようとした。
『逃げろ、後ごめん』
そう読み取れた。
私はまだ彼らに伝えていない。
彼らに感謝の言葉を。
この場では場違いかもしれない。
だけど、今伝えなくちゃいけないような気がした。
助けなくちゃ。
「安心せい、痛みは一瞬」
男の声が響く。
まだ死んではいけない。
死なせてはいけない。
生きなくちゃいけない。
生かさなくちゃいけない。
絶対に生き残る!!
“それが君の望みか”
頭の底からそんな声が聞こえた気がした。
“生きて彼らに思いを伝える、それが君の望みなのだな”
…そう、私はまだ生きたい、そして思いを伝えたい。
“君は彼らと生きたいのだな”
…そうかもしれない、私は彼らと生きたい。
“君の望みは彼らに思いを伝え、そして生きることか。単純な願いだがこの場でそれを叶えるのは難しい。ならば私から君に一つ贈り物をしよう”
…え?
“生かすも殺すも君次第、受け取るがいい”
その瞬間、私の左手から激痛が奔った。
----------------
「な…に…?」
そんな言葉が思わず口から洩れる。
部屋中に突風が吹いた。
風は部屋中を駆け巡り、俺はその場にうつ伏せたまま留まるのがやっとだ。
思わず風の吹いている方向へと目を向ける。
そこにはサチが居た。
サチは痛みに耐えるように必死で左手の甲を抑えつけていた。
その隙間から、紅い、血のような光が滲み出ていた。
体は動かない。
先ほどのアサシンの攻撃と緊張で言う事を聞かない。
風が吹きやみ始めると、それと同時に強い光が辺りを包む。
「ぐっ…!」
「む…!」
近くでセイバーとアサシンの怯んだ声が聞こえる。
それほど光は輝いていた。
光が収まり始めると、サチの前に人影が浮かび始めた。
「ったく、随分と乱暴な召喚だな」
あまりにも乱
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ