第二話 現状確認と絶望と拾い食い
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丁寧に皮を剥いた。前世からの強烈な静電気体質の俺からしてみればそんなことでいちいち驚かない。いつものことだと思い、そして何より目の前の宝物に比べればリアクションすら取る必要のない些細なことだ。
皮を剥いてすぐに中身もよく見ずに頬張った。
「う、うんめぇぇぇえええええええええ」
まるで全身に電気が走り抜けたかのような美味さ。アクセントに少しピリッとくるのもグッド!濃厚で、しかし後味はくどくはない爽快感と陶酔感がある。
ひと房丸々落ちてきたので残り3本もすぐに手をつける。
「美味。実に美味! 前世で俺が食ってたのは腐ったモノに感じてしまうほど美味!!」
前の世界では使ったことのない味覚器官があったのではないかと思えるぐらい脳が身体があまりの美味さに喜びをあげている。
し・あ・わ・せ!
ってあれ?俺の身体光ってる。それどころか森の中でついたかすり傷が治ってる……あっ!グルメ細胞のおかげか。でも身体が光ってるのは何故だ。
「…………ま、まさか。いきなり適合食材にヒット!?」
握りこぶしを作り力を入れていくと前以上に力が入るのが分かる。力が溢れ出そうだ。自分でも怖くなるぐらいまだまだ力が入っていく。強く握りすぎて手が破裂しそうだ。変な例えだとは思うがまさにそんな感じ。
俺はその持て余している力を目の前にある木に向けることにした。目的はもちろん先ほどのバナナがまだまだ木に実っているためだ。腰を深く落とし、掌底打ちで木に打撃を与えた。
するとバキバキという音と共にその木をへし折ってしまった……マジかよ。
木にしては細いほうだがまさか折れるとは思ってなかった。ただ木を揺らしてバナナが落ちてくればラッキー程度に思っていたのだ。グルメ細胞恐るべし。
よく見てみるとここら一帯はバナナの木々が多くあるので調子に乗って何本かへし折る。満足いくまで喰らってやる。
とりあえずバナナを折った木から全て収穫して、食べながら手帳を開く。もぐもぐ。いかんせん食べながらページを捲っているので時間が掛かる。比率的には9対1で食べることに比重を置いているので収穫したモノを全て食べ終えたときにやっと見つけることができた。
どれどれ、どんな絶賛が書いてあるのかなっと……ん?え?嘘でしょ?見間違いだと思い何度もそのページにある絵と自分が食べたバナナを見比べるが確かに同じモノだった。ということはこれって……
「え、エレキバナナ食べちゃった」
手帳にはこう記載されていた。
エレキバナナ捕獲レベル10。触ると感電するバナナで一口で体中に電流が走り、まるで天国に登るような陶酔感が得られると言われている。中毒性が強く、第二級の麻薬食材に指定されている危険な市場流通禁止食材である。
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