第二話 現状確認と絶望と拾い食い
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類)捕獲レベル3。たったの3だ。たったの3であれほどの威圧感。
そうだ、思い出した。確か原作1巻でトリコが威圧しただけで逃げ出したあいつだ。あんな奴に俺は……。
……そう、だよな。確かレベル1で猟銃を持ったプロの狩人が10人がかりでやっと仕留められるんだったっけ。それなのに俺はトリコ目線になって強くなった気でいたってことか。ははっ……だっさいなぁ俺。
このまま悩み続けてもいても仕方がない。重い腰を上げ、足元がフラつきながらも何とか立ち上がる。
とりあえず何か食べれる食材を探さなければならない。さっきの出来事のせいで喉もカラカラだ。
まずは生き抜くこと、それからだ。それから絶望でも何でもすればいい。
「行くか……」
自己暗示でもかけるかのようにポツリと言葉を発し、歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから何時間たったのだろうか。未だ食材は見つからず、見つかったとしても他の動物達の縄張りだったりした。
そしてそいつらから死に物狂いで逃げ出し、何とか撒いたものの俺の身体は限界に達していた。視界が霞み身体も思うように動かない。何時間も歩き走り続けて筋肉も疲れているが、動けないというほどではない。
ただ何だろうか、そうお腹が空いたのだ。たぶんこれが身体が思うように動けない一番の要因だと思う。お腹が減りすぎて動けなくなった経験など初めてだ。次に獣と出会ったらもう逃げきれる自信はない。
「もう、無理」
声も掠れている。その場にあった木を背もたれにして座り込む。数時間食べ物を食べないだけでここまでキツイとは思わなかった。多分、死ぬのだとしたら獣に襲われるよりも早く餓死してしまいそうだ。
前世では当たり前のようにあった食材。自分が食べたい時に食べ、いらなくなった時は捨てていたこともあった。なんて裕福な生活だったのだろうか。食せないということがこんなにも苦しく、辛いことだったなんて。
もし、次の人生があるとすれば食べ物を大切にしよう。それがこの厳しい世界で唯一学んだことだ。
徐々に重たくなってきた瞼を閉じようとしたその時、ゴンっと何かが俺の頭に当たった。上から何か降ってきたのだろうと思い最後の力を振り絞って、その落下物を見てみるとそれは。
「ま、まさかのバナナッッッーーーーーーーーーーー!!」
もう1ミリも動けないと思っていた俺の身体は瞬時に飛び起きそのバナナへと飛びついた。形は多少歪だが黄色く、いや今の俺には黄金にも似た輝きに見える。気がつけば目と口からは歓喜の涙と涎が滝のように溢れ出ていた。
まるで宝物を扱うかのように丁寧にそのバナナを手にとった瞬間、ビリッと電気が走ったが俺は気にせず
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