第一話 神隠し
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たが存在しないことによる影響をもう補ってしまいましたから。よってまったく新しい世界へと行ってもらいます……あなたのその体質を受け入れられるような世界へと」
受け入れられる……つまり雷人間の俺でも不信に思われないってわけか。となると
「ファンタジーな世界?」
「……トリコという漫画をご存知ですよね?」
「ジャンプで連載してるアレ?」
「そうです。あなたが今から行ってもらう世界はトリコです。もちろん危険防止のためグルメ細胞を所持した状態で行ってもらいます」
「なんつーか、逆に危険フラグにしかならないような」
「それはあなた次第です。というよりあの世界は一歩間違えば……いえ、一歩踏み出せば危険と隣り合わせな世界ですから」
「そっか……よし、じゃあ行くとするか」
せっかく俺が前向きに一歩前進しようとしているのに、この男はやれやれと言わんばかりに苦笑いをかましてやがる。なんだよ、せっかくやる気でてきたのに。
「……あなたは現世に未練はないのですか? 勝手に私に貴方が行く世界を決められて不満はないのですか? トリコという世界は貴方が思っている以上に危険に満ちた世界ですよ? これは私たちの管理不行き届きで起きてしまったことです。怒りを私たちにぶつけてもいいと思うのですが」
「あぁ〜なんつーか、うん、別にいいかなって。心配してくれるような家族や友達もいないだろうし、あっ心配してくれる友達は何人かいるかな。でもまぁあいつら変人だし。その内の一人は最近なんか、変というか違和感マックスだし」
それに何より、目の前の人が明らかに自分とは別格の人間だということも何となく理解している。何というか、別次元の存在というか。言葉に表すのは難しいけれど。ただ確かなことは逆らえばヤバいってことだ。伊達に喧嘩慣れしてないぜ。危機察知能力は高いからね、俺。
「……そうですか。ちなみにあなたと同一の存在を送り込むので周囲の人は消えたことに気が付きませんよ」
「ん、ならいいんじゃね。もうちょい刺激あるというか熱中できるような事をトリコの世界で探すわ。意外と美食屋になったりしてな。だとしたらグルメ細胞はありがたやって感じだ」
そうですか、お強いのですね。と一言お褒めの言葉をいただき、彼がコーヒーを出したときのように指を鳴らすと俺の足元がゆっくりと透けていく。
「ご武運を……いや、食運を、ですかね。あぁ最後に一つだけ、私の上司からつまり神様からの送り物があるので有効に役立ててくださいね。その送り物はそちらの世界に着いたときには持っているよう部下に手配させていますので。それでは良い人生を」
―――あんた……中間管理職だったのかよ。
side out
◇
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