第一話 神隠し
[1/4]
前書き [1]次 最後 [2]次話
教室の窓から降り積もっている雪を眺めながら最近様子がおかしい友人の帰りを待つ。いや、別に突然変な踊りをするとか、謙虚になったとかではない。ただ、何となく違和感があるといった程度。理由は、まぁただの勘なんだけど……俺の勘は物凄く当たるためやはり気には止めておこう。
その友人はいつもなら通学時にコンビニで弁当を購入しているのだが、今日は気分的に学内で販売されているパンが食べたかったみたいだ。うちの学校はパンも美味いから長蛇の列に並ばなければいけないが、友人は顔がいかつく、不良との喧嘩沙汰も多いためモーゼの海割りの如く列が割るので時間はかからないだろう。
そんな友人の帰りをただ待っているという手持ち無沙汰な時間を過ごすより今は嘘みたいな自分の異常な状態を再度確認するために机の下にゆっくりと手を隠すように入れた。
両手の人差し指同士をくっつけてからゆっくりと離すとバチッという音と共に電気が走った。いや、今もなお、蒼電が走り続けている。
いくら俺が静電気体質だとしてもこれはない。まるで漫画だ。念能力を覚えたつもりはない。友人の喧嘩沙汰になったとき手助けに役立ちそうだと思いながらも昨日のことを思い出す。
夜中コンビニに買い物に出かけその帰り道でそれは起こった。
突然の落雷。雪が降っている中に雷が落ちるもんなんだなと雪と雷のコラボレーションに物珍しさを覚えた次の瞬間、雷がジグザグに、けれどまっすぐ俺へと落ちてきた。
その瞬間初めて走馬燈というものを経験した。あぁ…死んだなと思った。
まずは頭に強烈な何かを感じ、そこから雷が枝分かれに全身の骨へと駆け巡った。しかし感じたものは痛みでも痺れでもなく爽快感だった。自分でも雷くらって爽快感を感じるなんて変態なんじゃないかと思ったぐらいだ。
いや、確かにエロいし変態な部分があることは認めるけど雷に対し性的欲求はない……はず。
それからだ、静電気体質が異様に強くなったのは。電気が肉眼で確認できるほどの量を自在に放出できるようになってしまった。こんな電気が強くならなければ昨日のことは夢か気のせいですませていたかもしれない。だってそうだろ?雷くらって平然としてられるわけがない。
はぁ、と幸せが全速力で逃げだす程のため息一つはき、視線を指から戻すと
――そこは白い空間だった。
もう何が何だかわからない。思考がついてこなさすぎて迷子になっている。
俺は教室にいたはずだろ?いかつい友人を待っていたはずだろ?なのに何故真っ白な空間で白いソファーに座っているんだ?理解不能、意味不明だ。ゆえに俺は考えることを止めた。
疲れ果てた脳を休めるため馬鹿みたいにボーっとしていると得意の勘が働いた、何か来る……と。
ガチャッとドアが開
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ