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スーパーヒーロー戦記
第39話 新組織、デストロン
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 怒りと憎しみ、そして悲しみの涙を流しながら志郎は仮面ライダーに頼んだ。だが、その頼みにライダーは首を縦には振らなかった。

「風見、お前の気持ちは良く分かる。だが、個人の復讐の為に力は貸せない」
「しかし!」
「死に急ぐな! 改造人間は俺と本郷の二人だけで充分だ。これ以上は要らないんだよ」

 尚も迫る志郎に対し一文字が冷たくあしらった。彼なりに志郎を気遣ったのだ。改造人間になる事。それは即ち人間である事を捨てる事になる。
 人として生きる事を許されず、孤独に生きる存在。それが改造人間なのだ。
 その辛さを志郎に与えたくなかったのだ。

「闘いは俺達に任せろ。行くぞ一文字」
「あぁ!」

 ダブルライダーは風見邸を飛び出した。例の発信機を頼りにサイクロンを走らせる。志郎は一人部屋に取り残される形となった。そんな志郎の背中をアリアは見つめた。志郎の悲しみがアリアの胸を強く打つ事となった。

(志郎さん…)

 悲しみにくれる志郎の背中をアリアは黙って見つめていた。未だに不可視の魔法を使っている為彼等にはアリアの姿は見えない。
 その時、再びアリアの脳内に念話が入りだした。先ほど突然切ったのに心配したのか妹のロッテが再び念話を送ってきたのだ。

【姉さん。大丈夫? 何かあったの?】
(何でもないわ。それより今は一旦合流しましょ。色々と報告しないといけない事が出来たしね)
【そうなの? 分かったわ。待ってるね】

 半ば歯切れの悪い受け応えの後、ロッテの方が通信を切った。そして、再びアリアは志郎を見る。

(志郎さん…御免なさい)

 一言、そう告げた後、アリアは静かにその場を後にした。自分には使命がある。今は私情に浮かれてる場合ではない。それは分かっていた。だが、やはり辛かったのだ。
 一人、残された志郎は固く拳を握り締めた後、何かを決意したかの様に顔を上げる。

「俺は諦めない! 必ずこの手で家族の仇をとってやる!」




     ***




 ダブルライダーは取り付けた発信機を頼りにデストロンのアジトを見つけ出した。其処は人里離れた地にある建物であった。その入り口には数名の戦闘員が警備をしていた。人里離れた場所だから目立たないのだが、返ってそれが二人には目立つ格好の姿であった。あれではみすみすこちらにアジトの場所を教えて居る事になる。

「此処がデストロンのアジトか……」
「もうこれ以上犠牲者を出すものか! その前に叩き潰してやる!」

 二人の仮面ライダーがアジトの入り口に近づく。警備をしていた戦闘員は未だに気づいていない。背後にそっと近づき、急所へ一撃を放つ。突然の急襲に警備をしていた二人はどうする事も出来ずあっさりと意識を刈り取られてしまった。気絶し
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