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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第17話 湖畔にて
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ると、眼前のコイツのように、何処かには存在しているのかも知れませんが。

 完全に、人に擬態して、人間として人の社会に溶け込んだ俺と同じような存在が。

「せやけど、俺の正体が判っているのなら、龍種が、簡単に膝を屈するような種族ではない事も知っていると思うんやけど、どうなんかいな」

 俺は、先ほどまで考えていた事をオクビにも出す事なくそう答える。

 それに、そもそも、タバサの方の理由……あのランダム召喚が魔法学院の進級試験で、俺が彼女の使い魔に成らなければ彼女が退学する事に成る、と言う事実が無ければ、俺は使い魔に成る事など有りませんでした。
 そんな中で、如何な貴族……夜の一族の王たる種族の一員で有ったとしても、俺に膝を屈せさせる事はかなり難しい事に成ります。

 おそらく、もう一度。今度は双方、己の矜持を掛けての戦闘が行われる必要が有ると思いますね。
 そして、再びの戦闘でも俺は勝利する心算ですから。
 如何な夜魔の王とて、龍と相対して勝利するのは難しいでしょう。

 龍とは大自然の化身。ここで簡単に膝を屈したら、御先祖さんに顔向けが出来ませんからね。

「ひとつ、私からの質問もよろしいでしょうか?」

 何が楽しいのか、さっぱり理由が判らないのですが、妙に上機嫌な雰囲気で、竜殺し殿がそう問い掛けて来た。
 う〜む。矢張り、コイツのバイオリズムは夜の闇が濃くなれば濃くなる程、良く成って行くと言う事なのでしょうね。

「まぁ、俺が答えられる範囲内ならばな」

 俺は、そう答える。
 尚、俺のバイオリズムは別に陽光に左右される訳ではないのですが、俺自身に取って、睡眠が非常に重要な行為である以上、夜警の仕事にはあまり向いている生命体では有りません。
 もっとも、その程度で不機嫌になると言う程のモノでもないのですが。

「貴方は、タバサ嬢と寝食を共にしているのですが、本当のトコロ、どうなのです。
 平静を保って居られる物なのですか?」

 ……って、いきなり、何を言い出すのですか、この夜魔の王は?
 少し、虚を突かれて冷静さを失い掛けた俺ですが、しかし、出来るだけ平静を装いながらひとつ深く呼吸を行う。
 一瞬、会話が途絶えた。周囲は夜と、思い出したかのように小さく爆ぜる焚火の気配にのみ支配された。
 ………………。
 ……大丈夫。この程度の乱れなら夜気と炎の気を深く吸い込み、身体を循環させる事で立て直す事は出来る。

 流石に、夜魔の王との会話ですから、冷静さを失っては、どんな呪を掛けられるか判ったモノでは有りませんから。

「これが、この世界のルールだと最初に言われたからな。
 それに俺の能力では、離れた場所で眠っているタバサを護る方法はない。俺の式神達からは、ふたりが同じ場所に
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