第2章 真の貴族
第17話 湖畔にて
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先導する導く者に付き従いしばらく飛行した後、かなり平坦な場所に到着した俺とタバサ。
それまでは、地上三十センチから、高くても一メートル以内の高度を浮遊しながらの移動だった事を考えると、今回の飛行はかなりの距離を移動した事になると思いますね。
周囲を一当たり見渡してみる俺。しかし、相変わらず、ゴツゴツとした、火山性の岩が存在するだけで、その中に生命の存在を感じる事はない。
同時に感知の精度を上げ、危険な魔獣・幻獣の類が近くに存在していないのか、についての調査も行うが、こちらも問題なし。
しかし……。
しかし、少し微妙な感じだとは思いますけど、人の手が入っている可能性が有る場所じゃないですかね、ここは。
それに、少し……いや、かなり神聖な雰囲気が有る場所のように感じたのですが。
この導く者に案内された場所は、一種の霊場のような、少し特殊な雰囲気の場所で有る事は間違い有りません。
「ここが目的地」
短く、簡潔にそう俺達に告げる導く者。……って言うか、案内人。
……なのですが、この紅い山の基本的な風景。ごつごつとした岩場のみが続く殺伐とした景色が存在するだけで、この場所には、何処を探しても極楽鳥の巣らしき物は見当たらないのですが。
「ここに、古の盟約に基づき、香木を用いて祭壇を築いて貰う。
そうすれば、この地を訪れた彼が、自らと祭壇に火を放って再生の儀式を行う事と成る」
その導く者の発言に、流石に驚いた気を発するタバサ。
……って言うか、何故に、極楽鳥の雛を護るのに祭壇が必要なのでしょうか?
それに、香木で作る祭壇って……。
更に、再生の為に、自らと祭壇に火を放つ?
いや、確かに、鳥……つまり、羽族は火行に属する連中だったとは思うのですが。
「香木と言うのは、沈香……つまり、伽羅や白檀の事ですか?」
俺は、タバサを自らの右側にそっと降ろしてから、導く者に聞いた。
もっとも、そんな物がそう簡単に有るとは思えないですし、そもそも、その香木にしたトコロで、もっと南の方で無かったら産出しない物だと思うのですが。
具体的に言うと東南アジアの方で産出される代物だったような記憶が……。
ただ、極楽鳥自体が、そちらの方にも生息して居る鳥ですから、微妙に合っているとは思うのですが。
それに、香木で祭壇を築く必要が有る鳥を、俺はひとつ知っています。
もっとも、あの霊鳥はエジプトで祭壇を組んで再生するはずなのですが……。
確か、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが書き残した歴史書の中に、そう言う記述が有ったと思いますから。
「それで間違いない」
あっさりと、そう答えてくれる導く者。彼女の雰囲気は平
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