第62話 呉にゆかりの者達
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高名を知りまして、どうしても懇意になりたくはるばる揚州よりまいりました。実際にお会いしまして、想像通りの人物でございました。この魯子敬、劉正礼様に私の全ての穀物倉を寄付したく存じます」
魯粛は周瑜に家族の保護をして貰う代わりに、穀物倉を差し出したと言います。
これは私に魯粛の家族を保護してもらおうと思っていることでしょうか?
確かにそれしか考えられません。
魯粛が周瑜を頼ったのは周囲に敵が多かったからです。
しかし、揚州から遠く離れた地にいる私を頼るとはどういうわけでしょう。
彼女はまさか美羽がちかじか南陽大守に任じられることを知っているのでは?
今や私と麗羽が許嫁というのはこの中原では知らない者はいないので、商人の魯粛ならそのことは知っていると思います。
魯粛が美羽の任官の話を知っているのなら、彼女の立場からして美羽の親族になる私とのパイプを強くしたいのでしょう。
美羽は袁家の一族といってもまだ幼いです。
対して私は中原、河北で知らぬ者がいないほど武名が轟き、賊からは恐怖の対象になっています。
美羽は揚州に近い場所に任官されるので、魯粛が身の危険を感じたら美羽の元に身を寄せればいいです。
私を恐れて美羽に近づくものはいないでしょうから、もっとも安全な場所になると思います。
後は心配の種の母親を私に保護して貰えば安心といったところでしょう。
しかし、嘆かわしいことです。
今の朝廷は金をちらつかせれば情報が簡単に手に入る状態です。
だから、私の身辺は司馬家の手の者に秘密裏に守らせています。
彼らに始末された者は私が司隷校尉になってから数知れずです。
揚羽が私の許嫁で本当に助かります。
「・・・・・・これはどのような意味かな?」
「他意などございません。私は劉正礼様を心服しております。心服するお方に尽くすのが私の心情でございます」
彼女は拱手し私に頭を垂れました。
他意はない?
大有りだと思います。
何処の誰が自分の全財産を何の見返りもなしに他人に差し出すと言うのでしょう。
とはいえ、魯粛を懐に組み入れたいので気が進みませんがこれを受けるしかないでしょう。
「分かった・・・・・・。ありがたく頂戴しよう」
「劉正礼様、ありがとうございます」
「魯子敬、寄付の礼という訳ではないが、私にお前の家族を保護させて欲しい。昨今、黄巾賊が跋扈してお前も大変であろうと思う。それと私に士官し、私の真名を預かっては貰えないか。私の真名は正宗。よろしく頼む」
私は魯粛に士官の話と家族の保護の話を切り出しました。
「なんと!劉正礼様、その話を本当にございますか?この魯子敬、幸福の極みにございます。日々、賊がは
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