戦士達の旅立ち
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きた男の言葉は重かった。
「良、御前はわし等を導いてくれた光だ。御前達全員がな」
「そうだぞ、それは誇りに思ってくれ」
「はい」
「ライダーの誇りとしてな。世界を守る戦士としての誇りだ」
「この機械の身体にそれがある」
彼は自らの左手の平を見てそう呟いた。
「そう、その身体にだ。辛い宿命だと思ったこともあるだろう」
「ええ。それは認めます」
ライダー達は身体は人間のものではない。それに苦しんだ者もいた。
村雨も同じである。だが今彼はそれを苦しみとは思っていなかった。
「自らのこの運命を呪ったこともあります。しかし今は」
「違うのだな」
「はい、これは先輩達も同じだと思います」
彼はそれに答えた。
「今は誇りに思っています。この身体だからこそ戦ってこられたのですから」
「そうか」
伊藤はその言葉を温かい目で受けていた。
「君を改造したのは私だ。君には済まないことをしたと思っているのだが」
「いえ、博士が悩まれる必要はありません」
村雨はここでそう言った。
「それどころか今は博士に感謝しています」
「有り難う」
伊藤の目はその言葉でもう潤んでいた。
「君にそう言ってもらえるとは」
「ライダーだからこそ、ゼクロスだからこそバダンを滅ぼすことができましたから。そして人々を救う力を手に入れることができた。感謝してもし足りませんよ」
「済まない、本当に済まない」
彼は泣いていた。泣きながら村雨の両肩を持っていた。
「博士・・・・・・」
「バダンに協力し、君の身体を機械にした私を許してくれるなんて・・・・・・」
「許すも何も」
しかし村雨の声は温かいままであった。
「博士が、そして皆がいたからこそ俺は戦えたんです。許すだなんて」
「そうか、有り難う」
伊藤はそれ以上は言えなかった。ただ泣くだけであった。
「良さん」
今度は少女の声がした。
「ルミちゃん」
見ればルミが微笑んでいた。
「今度は何処へ行くんですか」
「そうだなあ」
彼は言われて考え込んだ。
「アイルランドに行って来る」
「アイルランドに」
「そう、それも北にね。あそこもまだ物騒だから」
言わずと知れた北アイルランド問題であった。まだ完全に解決はしていないのである。
「そう、気をつけて下さいね」
「ああ」
村雨は笑顔で答えた。
「ルミちゃんもな。今度会う時は何時になるかわからないけれど必ず会おう」
「ええ」
「そして・・・・・・今度は」
「今度は?」
「笑顔で再会しよう。最初会った時みたいに無表情なやつじゃなくて」
「ええ、わかったわ」
ルミはそれを受けて微笑んだ。
「楽しみにしてますえ、良さんの笑顔」
「ああ、是非待っていてくれ。その時を」
村雨は言った。
「
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