決戦
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それを気付いておられないだけです」
役の言葉は口調こそ穏やかであったがその中身は辛辣なものが含まれていた。そして彼はそれを緩めることがなかった。
「だからこそ貴方は愚かなのです」
「俺を面と向かって愚かと言うとはな。見上げたものだ」
三影は役を睨み据えていた。
「だがその罪はあがらう覚悟はできているのだろうな」
「罪・・・・・・。それも貴方は考えておられますね。人はその存在自体が罪なのだと」
「そうだ。何か間違いがあるか!?」
「確かに人には罪があります。そしてそれは生きている限り重ねられていくものです」
「そうした汚らわしい人間共を抹殺することこそ我がバダンの宿願の一つだ」
「しかしそれは人の一面だけを見ているに過ぎません」
役はそう反論した。
「それは何故か。自分だけを高みに立って他者を見下したいからです」
含まれている辛辣なものがさらに強くなった。
「そしてバダンに選ばれ、粛清する立場にあることを感謝する。それ等が選民思想、そして権力欲でなくて何と言うのですか。貴方はそうやってでしか自分を立たせることができない弱い者なのです」
「今度は弱いというか」
「ええ。少なくともあの方達よりは」
役はここでライダー達に顔を向けた。
「御覧なさい」
そこには立花達がやって来ていた。
「おい、無事だったか!」
「心配したぞ!」
滝もいた。博士達もがんがんじいも。竜もチョロもがんがんじいもモグラ獣人もいた。皆無事であったのだ。
「おやっさん」
「無事だったんですね」
彼等はそれぞれ細かい傷を少なからず受けていた。頭から血を流している者もいる。この戦いの激しさを何よりも物語るものであった。
それでも彼等はその傷を置きライダー達の方にやって来た。そして彼等を気遣うのであった。
「皆無事だったんだな。よくやった」
「勝ったんですな、みなはん」
そして温かい声をかける。その目は誰よりも優しいものであった。
「あの目を見なさい」
役は三影に対して言った。
「あれが人間の本当の力です。人にはああした一面もあるのです」
「あれの何処が力だ」
それでも三影は頑なにそれを見ようとはしなかった。
「甘い、単なる馴れ合いだろうが。あんなものが力だとは断じて認めん」
「貴方はそう考えるでしょうね。そしてそれを拒む」
「フン」
彼は首を逸らした。
「だからこそ敗れたのです。それを最後まで理解されないのですね」
「敗れたのは俺の力が足りなかっただけだ。他に何がある」
「その力、よく考えられればおわかり頂けたのですがね」
「そうして昔から貴様は人に干渉してきたのだな」
「干渉?とんでもない」
役はそれを口の端だけで笑い飛ばした。
「私は守護者なのですよ。人の世のね。それだけです」
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