第十五話 神前でその六
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「私だって腕によりをかけて御馳走するからね」
「えっ、テトムもって」
「お寿司だけじゃなくて」
「だって戦いに勝ったら嬉しいじゃない」
テトムはもう勝った時のことを考えていた。
「それだったら。それもいいかしら」
「ああ、頼むな」
「是非ね」
皆もそれに頷くのだった。こうしてテトムも作ることになった。
そしてである。他には。
「ワニもカレー出す!」
「そうですね。お祝いに特別に恐竜屋の特製カレーを」
介さんもそれを話す。
「皆さんに好きなだけ食べてもらいましょう」
「スクラッチ社もここは負けてはいられんのう」
シャーフーも言う。
「中華料理をふんだんにじゃな」
「何か勝った時のことが楽しみになってきたな」
「そうね、何かここまでになると」
「御馳走尽くしだよな」
「それもかなり」
皆それを話す。水族館の中でそんな話になる。
そしてである。アシカが魚を食べるのを見ていた。芸をした褒美にである。
ジャンがそれを見てだ。こう言うのだった。
「なあ、あの魚な」
「食べられないわよ」
ランがすぐに彼に言った。
「あれはアシカが食べるものだからね」
「けれど俺生魚食ってた」
「えっ、そうなの」
「そう、食ってた」
平気な顔での言葉だった。
「他にも笹も食ってた」
「笹!?」
「何だそりゃ」
レツもゴウも今のジャンの言葉に思わず問い返す。
「あの、それってパンダが食べるものじゃないかな」
「そんなのを食ってたのかよ」
「おかしいか?」
しかし本人は至って平気である。
「笹美味い。パンダが食えるもの俺も食える」
「こいつ一体どんな生活してたんだ?」
ゴウも腕を組んで首を捻っている。
「ずっと野生で暮らしていたのは聞いてるけれどな」
「そう、ずっとパンダ達と一緒に暮らしてきた」
恐るべきジャンの半生である。
「生の魚でも肉でも何でも食える、俺そういうの普通」
「普通じゃないわよ」
ランも流石に今は呆れ返っている。
「確かに野生で暮らしていたのは知っていたけれど」
「だからそこまで丈夫なのか」
ハイドは話を聞いてこう考えた。
「そういうことか」
「俺身体丈夫」
ジャンもそれを言う。
「怪我も病気も全然平気!」
「けれど生の魚や笹は食べないでね」
ランの今度の言葉は諭すものだった。
「幾ら何でもね」
「そうか。俺今でも食べられる」
「食べられても食べないの」
そうしろというのだった。
「わかったわね。それはね」
「何かそれ面白くない」
だがそう諭されたジャンの顔は不機嫌そのものだった。
「俺何でも食える。アシカと魚の食い合いもできる」
「完全に動物だな」
「そうね」
皆あらためてジャンのその野生を知っ
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