第十五話 神前でその五
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「猫も噛んだり引っ掻いたりするから」
「我儘やしな」
「猫は怖い生き物じゃ」
「ああ、よくわかるぜ」
館長と源太は真剣そのものの顔で話をしていた。
「ハムスターになればよくわかる」
「俺寿司の時に危うくだったしな」
「何で寿司になったんだよ」
その猫のスモーキーの突っ込みである。
「まずそれがわからねえんだけれどよ」
「外道衆の術でやられたんだよ」
「入れ替わりでもされたのかよ」
「ああ、それだよ」
まさしくそれであった。問われるままに答える形になった。
「あの時は洒落にならなかったな」
「またそりゃ大変だったな」
「全くでい。親分も苦労してるんでい」
ダイゴヨウが出て来て代弁してきた。
「俺だってな。就職活動したこともあるしな」
「それもかなり凄いでございますですよ」
マンドラゴラは普通に鉢の中にいたままで飛んでいる。
「僕ちんそういうことはしたことがないのでございます」
「したら凄いなんてものじゃないけれど」
笑見が自分の横を飛び回る彼に突っ込みを入れた。
「普通に飛んでいるだけでも凄いのに」
「私達は慣れましたが確かにそうですね」
介さんもそれに頷く。
「それは」
「そうか?俺達は普通でい」
「そうでございますですよ」
自覚がないのは本人達ばかりである。
「なあ。あの時は真剣に悩んだしな」
「その気持ちわかるでございます」
「だよな。俺達にしろ色々あるからな」
スモーキーも話に加わる。
「そういうことだってあるさ」
「けれどあれだよ。結局親分とは離れられなかったな」
ダイゴヨウの言葉はしみじみとしたものだった。
「やっぱり俺の親分だぜ」
「絶対になんだな」
「おうよ、絶対でい」
スモーキーにも答える。
「俺達は何時でも一緒だからな」
「おうよ、この戦いが終わったらまた寿司の屋台やるからな」
源太もそれを言う。
「楽しみにしてろよ」
「合点でい。そういえばここでは寿司食わないのか?」
「ああ、それな」
「そういえばお寿司は食べてないわよね」
「今気付いたけれど」
皆ダイゴヨウの言葉でこのことに気付いた。
「大阪とかこの三重でも」
「海の幸は豊富なのに」
「お寿司は食べていないけれど」
「そうだよな」
「じゃあ今度食べる?」
そしてこうした話になった。
「伊勢に参拝した後で」
「ああ、それいいよな」
「そうよね」
皆このことに頷きかけた。しかしであった。
ここで、であった。その寿司の源太が言うのであった。
「だったら勝ってからでいいんじゃないのか?」
「勝ってから?」
「それから?」
「そうだよ。祝勝でな」
それも兼ねてだというのだ。
「どうだよ。寿司食い放題な」
「寿司食い放題か」
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