嵐の前
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「おやっさん、お帰りなさい」
村雨の特訓を終え、アミーゴに帰ってきた立花に後ろから声をかける者がいた。
「その声は」
立花は後ろを振り返った。そこに彼はいた。
「暫くです」
それは神だった。彼はにこやかに微笑んでいた。
「おう、何か大分会っていなかった感じだな。元気そうで何よりだ」
立花も笑顔になった。彼の顔を見ることができてやはり嬉しいのだ。
「ところで向こうはどうなったんだ?まあ終わったからこっちに来たんだろうが」
「ええ、まあ」
だが彼の顔は浮かなかった。
「何かあったな」
立花はそれを素早く見抜いた。そして問うた。
「わかりますか」
「わからない筈ないだろう、わしを誰だと思っているんだ」
「おやっさんです」
「そうだろう、御前等のことなら何でもわかるんだ。で」
立花はそう言いながら神を見上げた。
「何があったんだ?」
「いえね」
彼は浮かない顔のまま答えた。
「奴等急に姿を消したんですよ。どういうわけかわかりませんけれど」
「急にか」
「ええ。おかしいと思いませんか?」
「確かにな。奴等はとにかくしつこいからな」
立花も彼等のことはよく知っていた。だからこそわかった。
「御前の行ったところだけか?それは」
「いや、そこまでは」
神もそこまではわからなかった。だがここでもう一人やって来た。
「こっちもそうでしたよ」
城が姿を現わした。
「茂か」
「俺だけじゃありませんよ、ほら」
親指で後ろを指し示した。そこには筑波もいた。
「洋の奴のところもらしいですよ。奴等は急に姿を消した。一週間前にね」
「一週間前か」
神はそれを聞いて右目を顰めさせた。
「ええ」
城はそれを見て少し驚いた顔をして答えた。
「俺の方もだ。丁度一週間前に姿を消した」
「神さんのところもですか」
筑波が彼等のところに来て言った。
「こっちもです。どういうわけか奴等は急に姿を消しまして」
「御前のところもか。一体どういうことだ」
「わかりません。けれどこれは何かありますよ」
「だろうな。何かない方がおかしい」
神と筑波はそう言って考え込んだ。城もである。ここで立花の携帯が鳴った。
「はい。お、谷さんか」
立花は彼の声が普段と違うことに気付いた。
「・・・・・・そっちもですか」
そして急に深刻な顔になった。
「おい」
携帯の電話を切った後で三人に顔を向けた。そして言った。
「谷さんのところに志郎と一也が来たらしい」
「そして何と?」
「一緒だ。やっぱり一週間前に奴等は姿を消したらしい」
「やはり」
三人はそれを聞いて頷いた。
「そうだと思いましたよ」
「とりあえずは中に入ろう。谷さんと二人もすぐにこっちへ来るらしいしな」
「わかりま
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