『僕』の今日この頃
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そこで休憩を挟みながら鍛練を一時間以上続けていると、声を掛けられた。
「随分頑張っているな」
「あ、玲音。いつもより少し遅かったね」
「日直の仕事があったからな」
今来たのは春野玲音といって、僕の従兄弟だ。
容姿はアッシュブロンドの髪と紫色の瞳で、『英雄伝説 空の軌跡』のレーヴェにそっくりなのだ。
だから、初めて会った時にしばらく放心してしまったが、そんな僕を誰が責められようか。
その後、僕は酷く緊張して話し掛けるのを躊躇っていたのだが、そんな僕を見た玲音は『そんなにおどおどしなくてもいい。俺のことは気軽に玲音と呼んでくれ』と言ってくれた。そのことが今でも心に残っているし、玲音の優しさにとても感動したものだ。
あの時はお寺を訪れて、お爺さんに届くように何度もお礼をした。だからきっと届いていると思う。
そのことを切っ掛けとして、僕が積極的に玲音と呼んで慕うようになった。周りから見ても仲のよい兄弟のように思われている筈だ。
また、玲音もハーフだ。
というよりむしろ、日本人の血の方が少ないくらいで、その容貌は本当に人の目をよく引くし、町の中でも有名だ。
僕はまだそこまで有名ではないのだが、その内玲音のようになってしまう可能性が高いので、少し憂鬱だ。
そんな玲音がなぜここに来たのかというと、僕が剣術を習っている玲音の自主練習に参加しているからだ。
玲音は最近、師範代の人に勝つくらい強いのだ。
ただ最初は玲音も『翔夜にはまだ早すぎる』などと言って、僕が練習に参加することを渋っていた。だけど、僕が諦めずに何度も頼み込むと、最後は根負けして許してくれた。
まあ、絶対に無茶はしないように、と釘をさされたのだが、心配していることが本当に伝わってきたので、僕は真剣に頷いてお礼を言った。すると玲音は軽く笑って頭を撫でてくれた。
こうして玲音と一緒に練習をするようになると、大きな力の差を感じて、より一層鍛練に打ち込むことができ、とてもいい訓練になる。
「さて、では今日も始めるか?」
「うん。もちろんだよ」
「よし、じゃあまずは柔軟からだな」
「そうだね」
こうして更に約一時間の練習が始まった。
最初に十分くらいの時間を掛けてしっかりと体を伸ばし、次に自分にあった筋力トレーニングをする。しかも筋肉に十分な負荷を掛けるものなので、毎回筋肉痛になり、成長が実感できる。
そして休憩を挟んだら実践練習だ。段々と鋭くなる玲音の木刀を、拾った丈夫そうな木の枝で防いだり逸らしたり、時には避けていく。
この時僕は能力に頼らなくても勝てるようになるために、【あらゆる問いに答えることができる能力】を封印している。
だ
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