一つの終わりと始まり
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俺は驚きを隠す余裕もなく叫んだ。……いや、叫ばずにはいられなかった。
『それは……』
「それは……?」
思わず固唾を呑んで繰り返すと──
『ワシが感動したからじゃ』
──俺は転けた。それはもう盛大に転けた。
それまでで一杯一杯だったのに、更なる衝撃を受けてしまい、我慢の限界を越えた。越えてしまったのだ。遠慮も慎みも全てかなぐり捨てて、声を大にして言おう。
「はあっ!? ちょっと待ってくれ! 確かに感動したさ! したよ!! でも貴方神様なんだろ!? こんなことしてもいいのかよ!?」
『大丈夫じゃなければやっとらんわい』
その自信満々さが余計にむかつく。
だがしかし、その程度で俺は諦めないしまだまだ叫び足りない。なんだか無限に言葉が流れ出しているみたいである。俺は沸き上がる自分の感情に任せて続けた。
「それに元の世界での俺の扱いはどうなるんだよ!? 元の世界には帰れないのかよ!? いやむしろ帰せぇ!!」
『既に全ての人間がお主に関する記憶を完全に失っておるし、お主が生きていたという痕跡も完璧に消してある。だから帰すことはできんが、心配する必要はないぞ』
なんて血も涙もない仕打ちであろうか。近頃の犯罪者よりもよっぽど凶悪である。
「これもう誘拐とか拉致のレベルすら超越してんじゃねえか! 絶対に最初から帰す気がなかっただろ! なんで選べる選択肢がねえんだよ!」
『転生するという選択肢があるぞ』
少しも悪びれずに、そう宣いやがった。
「………………はあーっ」
どうやら逃すつもりはさらさらないらしい。少しはすっきりしたし、俺は最後に長いため息を吐いて、全てを受け入れることに決めた。
「わかった。やってやるよ。だから具体的には何をすればいいんだよ?」
『一つだけ必ずやってもらうことがある。それは、登場人物をできるだけ幸せにしてあげることじゃ。そのための力も、お主が望むものを用意しよう』
……ああ、そういうことか。つまりはある程度の力を渡すから、《月夜の黒猫団》の全滅を食い止めることや、《ソードアート・オンライン》での死者数を減らすことなどをしてほしい、という話だったのだ。
それならば、確かに俺も思ったことがある。こんな悲しみを減らせればいいのに、と。
もうあとには引けないことなんてわかりきっていた。転生する以外に道がないことも。だから俺は、腹を括って、躊躇いを捨てた。
「そういうこと、か……。じゃあ【あらゆる問いに答えることができる能力】が欲しい」
この能力なら戦闘だけでなく、日常生活などでも活用することができる。応用が利く方がなにかと便利だからな。
『……それだけか?』
なんと、まだまだ願ってもいいよ
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