秘められた力
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「さて同志達よ」
暗闇大使は闇の中の一室で影達に対し語り掛けていた。
「遂に全てのライダーが日本に集結した」
それを聞いた影達の気が蠢いた。
「驚くことはない。これは予定されていたことだ」
暗闇大使はそれを宥めるように言った。
「諸君等もそれはわかっている筈だ」
「しかし暗闇大使」
影の一つが口を開いた。
「何だ」
大使はそちらに顔を向けた。
「十人のライダーを一度に相手にすることはいささか困難であると考えますが」
「それについては今まで何度も議論が為されてきた筈だが」
だが大使はそれに動揺してはいなかった。
「案ずることはない。諸君等も私も心配することはないのだ」
見れば彼は軍服であった。あの戦闘用の服ではない。
「全てはここにある」
そう言って自分の頭を指差した。
「ライダーを倒す方法は幾らでもある。それは君もわかっている筈だが」
「はい」
その影は項垂れた声で答えた。
「私の不明でした、お許し下さい」
「わかればいい」
大使はそんな同志を慰める言葉をかけた。
「さて今我々が為さなければならないことは」
彼はあらためて同志達に顔を向けた。
「二つある」
声は急に峻厳なものとなった。
「まずはこの日本を占領しバダンの世界征服の一大拠点とすること。そして」
言葉を続けた。
「ライダー達を一人残らず倒すことだ。これは並行して同時に進めていく」
「ハッ」
影達はそれに頷いた。
「その為の戦力は充分にある。それもわかっていると思う」
「黒い光を持つ戦士達ですね」
「その通り」
彼はそれを聞きニイ、と笑った。恐ろしい笑みであった。
「そして時空破断システムもある。力は有り余る程ある」
「それでこの日本に我がバダンの最初の領土を置く」
「そこから世界へ」
「そう、時空破断システムにより世界を灰燼に帰してからな」
暗闇大使は話す度に機嫌をよくしていった。
「その為には諸君等には十二分に働いてもらいたい」
「それはもう」
影達はその言葉に頭を垂れた。
「ご期待下さい、暗闇大使」
「必ずや我等の手でバダンの理想郷を築きましょうぞ」
「うむ、頼むぞ」
大使はそれを聞き頷いた。
「全ては諸君等の手にかかっているからな」
「いや、それは買い被りというものでは」
「いや」
謙遜に対して首を横に振った。
「我等は選ばれた者達だ、必ずや事は成就する」
「選ばれた者」
ある種の人間にとってはこのうえなく甘美な響きを持つ言葉である。それが今彼等の心を溶かした。
「わかりました、暗闇大使」
「必ずや我等の理想を達成しましょうぞ」
「頼むぞ、同志達よ」
再び言った。彼は自分の言葉に彼等が心を支配されていくのを感じていた。
「では行こう
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