二匹の毒蛇
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死神博士がスペインで倒れたという話はすぐにバダンにも伝わった。流石にこれには多くの者が衝撃を受けた。
「それは本当か」
首領も驚きを隠せなかった。エンブレムから思わず暗闇大使に問うた。
「ハ、残念ながら」
彼は頭を垂れてそれに答えた。
「仮面ライダー二号との戦いにおいて。見事な最後だったといいます」
「そうか」
彼はそれでようやく事態を認識できた。だがそれでも落ち着きは取り戻せなかった。
「あの男がか」
死神博士はショッカーの時から首領に絶大な信頼を受けていた。それはこのバダンにおいても同じであった。
ゾル大佐や地獄大使と共にその功を競い合った。この三人こそがショッカーの最大の切り札であったのだ。
だがその三人が敗れた時ショッカーは終わった。首領はショッカーに見切りをつけ新たな組織であるゲルショッカーを設立したのであった。
「あの時と一緒だな」
彼はふとその言葉を口にした。
「あの時とは」
暗闇大使はその言葉に顔を向けた。
「いや」
だが首領はそれを打ち消した。
「何でもない。気にする必要はない」
「ハッ」
バダンにおいては首領の存在は絶対である。よってその言葉もまた絶対であった。暗闇大使はそれ以上は何も尋ねようとはしなかった。
「ところであの男はどうしている」
「一文字隼人でしょうか」
「うむ。スペインから何処へ行ったのだ。消息を知りたい」
「この日本に。立花藤兵衛や滝和也も一緒です」
「そうか。どうやら我等の計画に気付いているな」
「おそらく。やはりあの者達を動かしたのが少し早過ぎたようです」
「いや、早くはなかったな」
だが首領はそれには賛同しなかった。
「どちらにしろライダー達はこの日本に集まって来る。それを考えるとあの者達を出すのに遅いということはない」
「左様ですか」
「うむ。ただ一文字隼人が来るとなるとやはりそれなりの警戒は必要だな」
「はい。あの男は何よりも幾多の戦いで培ってきた勘が備わっておりますから。それは他のライダー達を凌駕しております」
「そうだ。そしてもう一人の男も気になる」
「本郷猛ですか」
「その通り」
首領はそれに対し険しい声で答えた。
「あの男は特に危険だ」
バダンにとっては。
「あの男まで来るとかなり厄介なことになるだろうな」
「はい」
それは暗闇大使もよくわかっていた。長崎や沖縄での戦いは彼もよく知っていた。
「何とか今のうちに倒しておきたいが。そうすればライダー達にとっても大きな痛手だ」
「それでしたら」
「何か手はあるのか?」
首領は大使に問うた。
「私にはありませんが」
「何、では何もないではないか」
「いえ」
不機嫌を露わにした首領に対しても冷静さを失ってはいなかった。
「他の者が
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