二匹の毒蛇
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杯の酒も減っていく。
「今宵は久し振りに二人で飲み明かそうぞ、心ゆくまでな」
そして彼は杯に酒を再び注いだ。また飲む。もう一つの杯も減っていく。
「地獄でも達者でな。よろしくやるがいい」
彼等は飲み続けた。宴は何時果てるともなく続いていた。
本郷とルリ子はアミーゴに入った。それを見て驚いた顔をしたのは史郎であった。
「猛さん、戻ったんですか」
「ああ」
本郷は何故彼が驚いているのかよくわからなかった。だが気の小さい彼がそんな顔をするのはいつものことである。ここは冷静に応対することにした。
「一体何をそんなに驚いているんだい」
「いえ、まだベトナムにいるとばかり思ってまして」
「ははは、そんなことか」
本郷はそれを聞いて安心したように笑った。
「ベトナムでの戦いは終わったよ。東南アジアのバダンは壊滅した」
「そうだったんですか」
「あの史郎さん」
ここでルリ子が尋ねてきた。
「立花さんはいますか?」
「おやっさんですか?」
「ええ。やっと戻ってこれたしお顔を見たいのですけれど」
「生憎今はここにはいないんですよ。すいませんねえ」
「では今何処にいるんだい?」
本郷も尋ねてきた。
「今ですか」
問われた史郎は少しキョトンとしたような顔になった。
「村雨君と一緒ですよ」
「良とか」
「ええ、滝さんも一緒で」
「滝もか」
彼はそれを聞いて少し考え込んだ。
「一体何をしているのだろう」
「何でも彼の潜在能力を引き出す為に協力しているとか。俺も詳しいことは知らないんですけれどね」
「潜在能力」
本郷はそれを聞いてさらに考え込んだ。
「あいつにはまだ秘められた力があるというのか。だとしたらそれは一体」
そう思うとさらに深く考えざるをえなかった。彼の頭脳がそうさせるのだ。
「猛さん、それも大事だけれど」
だがここでルリ子が言葉を入れてきた。
「今日本はバダンの総攻撃を受けているんでしょう。猛さんも落ち着いてはいられないわよ」
「おっと、そうだった」
彼はルリ子のその言葉にハッとした。そして史郎に顔を向けた。
「今他のライダー達はどうしているんだい」
彼に問うた。
「皆各地で戦っていますよ。ただ今のところこの東京には誰もいません」
「そうか」
彼はそれを聞き頷いた。
「じゃあ今のところ東京の守りは俺が引き受けよう。やはりライダーがいないと危険だからな」
「お願いできますか」
「当然だ。それがライダーの仕事だからな」
史郎に対して毅然とした声で言った。
「何でも言ってくれ、バダンは俺が全て引き受ける」
ここで後ろの通信室から誰かが出て来た。ハルミであった。
「あ、猛さん」
「ハルミ君がいたのか」
いつもは谷のところにいるがどう
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