萌芽時代・出逢い編<後編>
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くる。
「……そのチャクラは、そんなに恐ろしい物なのか?」
「ああ。オレは絶対近付きたくない」
普段は剛胆な性格なお人であると言うのに、この怯え様。
この人が嘘を言う様な人でない事は、よく知っている。――――ならば。
「分かった。遠回りになるけど、迂回路を取ろう。お前がここまで言う相手なんだ、近付かない方が無難だろう」
その言葉に、一人はホッとした表情を浮かべて、もう一人はむっとした様な顔になった。
「なんだよ、柱間。お前らしくもないぞ」
「ただでさえ連日の任務で我々は疲労している。ここで無駄な争いをする様な真似は止した方が良いだろう?」
そう言って肩を叩くと、後輩忍者は軽く肩を竦めた。
「そんなに強いのに、柱間は相変わらず戦いが嫌いなんだな」
「戦争なんて毎日の様に起こす物じゃないさ」
本当にそう思う。
体を動かしたり、強い相手と技を競い合う事自体はとても好きだが、戦争は本当に嫌いだ。
争わずに済むのなら、それに越した事は無いと思う。
――にしても、人間とは思えない程強大なチャクラか。……気になるな。
「――影分身の術!」
ぼふん、と気が抜けそうな音と共に、もう一人の私が現れる。
私達はお互いにアイコンタクトを取ると、影分身の私は先輩忍者の言った強大なチャクラの持ち主の方へ、本体の私は集落へと走った。
一行とは別に、当初通る筈だった道を通って千手の集落を目指す。
不意に肌を突き刺す様な異様な雰囲気を感じ取って、走るのを止める。それまで平坦な獣道が続いていた森の中が、まるで台風でも通り過ぎたかの様に破壊されていた。
木々は抉れ、大地は所々陥没し、何よりも辺り一帯には濃密な死の気配が猛烈に漂ってきている。
森に住んでいた獣達の何匹かが巻き添えを食らったのだろう、舌をだらしなく垂らし目を虚ろに開いた状態のまま、あちこちに横たわっていた。
それらを視界の端に入れたまま、気配を殺して慎重に歩みを進める。破壊の跡が酷い方へと進むにつれ、肌を刺す威圧感がより圧力を増した。
「――!」
思わず息が漏れそうになるのを、必死に堪える。
この惨劇の主役が誰なのかと思っていたが、成る程あいつだったのか。
永遠と続く大地の果てに沈み行く、血の様な光を滲ませる夕日。
昼間の鮮烈な白い光が嘘の様に不吉な印象を与えてくる斜光に照らされる形で、静かに大地に鎮座する、巨大な獣。
頭から血を被った様に、夕日を浴びて真紅に染まった朱金色の毛並み。
見る者を圧倒させる堂々たる巨躯より生える、九本の尾。
筆で一筆引いた様に黒い目元にはえる鮮血の様な瞳。
未だに話でしか聞いた事の無い、この世に九体居ると言う尾獣の一匹
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