スペインに死す
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した男であるがこの作品においてはそれが爆発していた。それが為にこのトロヴァトーレは不滅の名作となっている。
「ロンドンにいた頃は親父やお袋に連れられていたっけ」
ロンドンにもオペラハウスはある。イギリスはどちらかというとオペラの消費地であるが。
「カルメンも何回か観たな。音楽はいい。けれど」
彼は少し首を傾げた。
「ああいったストーリーはなあ。やっぱり明るいのがいいよ」
彼は失恋の話等は好まない。ハッピーエンドの話を好むのだ。
「スペインは陽気な国なんだしそうした音楽を楽しみたいな。とりあえずお昼はフラメンコが聴ける店に行くか」
そう言って市場に向かった。そしてそこで食事を採るのであった。
食事は鶏肉のパエリアであった。特によく知られた料理である。
スペインの料理は日本のそれよりも多い。これは殆どの国で言えることである。
実は日本人は少食であるらしい。例えばイタリアでパスタだけ食べるので奇妙に思われたりしている。
「俺はそんなことは言われたことはないな」
一文字はわりかし大食な方である。彼やアマゾン、城などはライダーの中では大食の方である。彼等がそれについて言われるといつもこう言う。
「腹が減っては戦ができぬ」
その通りであった。彼等はその激しいエネルギーを養う為にも食べなければならなかった。たとえ改造人間であってもエネルギーは必要なのであった。
「全く飯ばかり食いやがって」
立花は彼等に対しよくこう言った。城には丼一杯の白い御飯と何杯ものラーメンをよくおごった。
「そんなもんでいいのかよ」
「ええ、俺はこれだけで」
こんなやりとりもあった。立花はとりあえず金の心配はなかった。必要とあらば手に持っている技で幾らでも手に入った。
伊達にマスターをしたり本郷達のマシンノメンテナンスをしていたわけではないのだ。
風見や純子には河豚をおごったこともある。戦いの間のささやかな贅沢であった。
「おやっさんには食い物のことでも世話になったな」
一文字もそれは同じであった。彼はそうしたことからもライダー達の父親であったのだ。
彼は市場を進んでいた。そこでなにやら小柄な男性が店を見て歩いていた。
「ん」
よく見ればアジア系である。スペイン人はどちらかというと小柄な方である。欧州ではラテン系はそれ程背は高くない。北欧やゲルマン系に比べると小柄だ。小柄といっても日本人と同じ位だが。
「何処の国の人だろう」
よくいるのは日本人か中国人だ。たまにアジア系アメリカ人だったり韓国人だったりする。大体海外にいるアジア系といえば彼等である。
「お、この魚いいな」
そうやら店の品物の品定めをしているようだ。言葉は日本語である。
「この声は」
一文字はその声を聞きすぐに誰だかわかった。見ればその
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