スペインに死す
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博士は言葉を続けた。
「ダブルライダー、私が唯一勝てなかった存在」
彼は今まで数多くの戦いを経てきた。欧州でのショッカーでの活動の成功は彼の手によることが大きかった。
「それは褒めてやろう。私は最後まで貴様等に勝つことはできなかった。だがな」
彼は言葉を続けた。
「貴様等と戦えたことについては恥とは思ってはいない。それは確かだ」
「そうか」
「その誇りを胸に抱いて私は死のう。さらばだ仮面ライダーよ」
彼はそう言うとゆっくりと前に倒れていった。
「偉大なるバダン首領の手に世界が渡らんことを!」
それが最後の言葉だった。彼は爆発の中に消えた。これがショッカーが誇った最高の頭脳死神博士の最後であった。
「死神博士も死んだか」
二号はそれを感慨を込めて見ていた。
「だが戦いは終わってはいない」
そうであった。バダンにはまだ戦力があるのだ。彼もそれはわかっていた。
「行くか」
爆発が消えると踵を返した。
「日本へ」
そしてその場を後にした。スペインの戦いはこれで終わった。死神博士の死と共に全てが終わった。
一文字はすぐに日本へ発つことになった。
「じゃあこれで」
一文字は復興作業の中のセヴィーリアの駅で立花と滝に対して言った。
「おう」
「またな」
駅から空港に向かう。そして日本へ行くのだ。
「おやっさんと滝はどうするんですか」
彼はここで二人に尋ねてきた。
「わし等か」
立花がそれに答えた。
「大体決まっている。今度はベトナムへ行くつもりだ」
「ベトナムですか」
「ああ、あそこに本郷がいる。そこであいつと一緒に戦うつもりだ」
滝も答えた。どうやら二人は一緒にベトナムに行くつもりらしい。
「俺も行きたいですけれどね。けれどここはあいつに任せるか」
今日本では不穏な空気が渦巻いている。それが気になって仕方がないのだ。
一文字はその空気を感づいていた。だからこそベトナムに向かうわけにはいかなかったのだ。
「本郷ならやってくれるでしょうね」
「ああ」
二人は一文字の言葉に頷いた。
「だがあいつだけだと何かと大変だろうからな」
「俺達の力も必要な筈だ」
「でしょうね」
一文字は二人の気持ちが誰よりもよくわかった。だからこそここは二人に任せるつもりだった。だが。
ここで立花の携帯が鳴った。見ればアミーゴからだ。
「何だ」
彼はすぐに電話に出た。それは純子の声であった。
「何だ、御前か。どうしたんだ」
立花は純子の声を聞き少し安堵を感じた。これがチコやマコなら何かと騒がしいからだ。
「おじさん、大変です。すぐに日本に戻って下さい」
純子の声はかなり狼狽したものであった。
「おい、どうしたんだそんなに慌てて」
一文字と滝もその様子に
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