スペインに死す
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ビルはそう言いながら両腕をゆっくりと上げてきた。
そして掌を二号に向けた。そこに黒い光が宿った。
それは一直線に二号に向かって飛んで来た。そして二号を消し去らんとする。
「クッ!」
咄嗟に上に跳んだ。光は後ろの岩に当たった。
見れば岩は瞬時にして消えていた。後には何もなかった。
「ふむ、よけたか」
イカデビルは落ち着いた声でそれを見て言った。
「そうそう簡単には当たらぬか」
「当然だ、俺を誰だと思っている」
着地した二号はイカデビルに対して反論した。
「ライダーがそう簡単に倒されるとでも思っているのか。いや」
二号は言葉を変えた。
「ライダーは決して敗れはしない。貴様等の悪しき野望にはな」
「フフフ、どの様な状況でも威勢がいいのは変わらないな」
イカデビルはそれを聞きかえって楽しそうな声をあげた。
「だがそうでなくては面白くない。私も戦いを楽しみたい」
彼にしては意外な言葉であった。彼は本来は武器をとることは少ないからだ。
しかしそこには別の意味があった。戦いを欲するのとは別の意味が。
「血がそれだけ流れるからな」
彼ももう一つの顔が姿を現わしていたのだ。酷薄な顔が。
「そうか」
二号はその声を聞いて呟いた。彼のことはよく知っているつもりだ。当然この酷薄な顔も。
(ならば)
彼はここで何かを決意した。その酷薄な顔が出ると何かが起こるのを知っているかの様に。
「しかしそうそう戦ってばかりもいられない。そろそろ終わりにするとしよう」
イカデビルはそう言いながら再び両手を上げた。
「隕石と光、二つ同時ではどうかな」
彼の酷薄な顔にはそれがあったのだ。同時攻撃で二号を葬り去るつもりだったのだ。
空が再び暗くなった。また隕石が降り注いで来る。
「死ぬがいい、仮面ライダー二号よ」
イカデビルは暗い声で言った。
「跡形もなく消し去ってくれる」
そして両手からまたもや黒い光を放って来た。
それは一直線に二号に襲い掛かる。同時に上から隕石が降り注いで来た。
上と前からだ。逃げ道はないように思われた。
「死ねぇ!」
イカデビルは叫んでいた。勝ち誇った声であった。
だが彼は気付いていなかった。自身が完全に無防備になっていることに。
そこに二号は目を付けていた。残忍さが前に出るあまり彼は普段の慎重さをなくしていたのだ。
「今だ!」
二号は跳んだ。隕石の方にである。
「馬鹿な、わざわざ死ぬつもりか!」
だがそれは違っていた。何と二号は隕石を蹴っていたのだ。
そして上に上がって行く。隕石を蹴りながらその反動で次々と上に上がって行く。
まるで滝を昇る龍の様であった。凄まじいその脚力がなければ出来ないことであった。
そうして遂に隕石を全てかいく
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