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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・出逢い編<前編>
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んでいた男を、刀の柄で殴り倒す。
 あっという間に相手は地面へと崩れ落ちた。

 よし、このまま速やかに戦線離脱だ。
 軽く鼻を鳴らしてから、刀片手にその場を離れる事にする。

 ――ところが、刀を掴んでいる手が後ろから掴まれた。

「待て」
「……まだ、何か用か?」

 いやいやいや。今の会話のどこが君の琴線に触れたのかな、黒髪少年(兄)。
 私としてはさっさと集落に帰って、これは悪い夢だと思い込みたいんだけど、本気で。
 ……それにしても力が強いな、この子。びくともしないんですけど。

「――お前、名は?」

 ぎり、と腕に力が込められる。
 三つ巴の写輪眼が、頭一つ分だけ高い私の目を覗き込む。

「さっきの奴が言ってただろ。千手の木遁使いだ――それ以上言う必要も無い」

 というか、うちはという時点で、これ以上興味を持たれても困るんだけどね!
 なるべく冷静な口調でそう言って、掴まれた腕を乱暴に振りほどく。
 にしても痛かったな、痣出来てるかも。後で確かめてみよう。

「待て! 何故うちはのオレ達を助けた!?」

 何で人の事引き止めるのかなぁ、君は!

 ちらり、と後ろを振り返ってみれば理解出来ないと言わんばかりの黒髪少年(兄)。
 ……彼も千手とうちはの始祖に連なる因縁を知っているのか。

「大した事じゃない。子供で怪我人である以上、お前達が誰であろうと助けるつもりだった」

 戦争に放り出される様になってから、私が心に決めた事がある。

 自分よりも幼い子供には、戦場では手を出さない。
 任務についていない時に怪我人にあったら、決して見捨てない。

 父上からも母上からも甘いとは言われているし、実際そうなのだけども。
 これは一族の忍びとして「柱間」という名を貰う以前から半ば意地で決めて、それからずっと実行し続けて来た事だった。

 今日だって、偶々助けた相手がうちはの一族の子であっただけの話だ。
 
 もうこれ以上彼らと話す事はないよねと思って、今度こそ振り返らずに彼らの前から立ち去る。
 嫌だな、なんか物凄くシリアスな雰囲気になっちゃった。
 帰ったら扉間に修行と言う名の八つ当たりをさせてもらおう。

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