萌芽時代・出逢い編<前編>
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こはさっさと離れるのみだ、うんそうしよう!
表面上は落ち着き払った表情を浮かべているが、背筋には冷や汗がだらだらですよ。
自分の名が柱間であった時と同じ位混乱してますよ、ほんとに。
――待て待て待て。落ち着け、自分!
混乱しまくりな自分を胸中で叱咤する。
そもそも、赤い目だからってこの子達があの一族とは限らない。慌てるのは確認してからじゃないと。
「何を深呼吸しているんだ?」
訝し気な声がかけられるが、精神の安定のためにこれは必要な事なのだよ、少年。
最後に深く息を吐いて、目の前の黒髪少年と視線を合わせる。うん、赤いままだ。
揺らめく炎をそのまま移し込んだみたいに赤い瞳に、浮かんでいるおたまじゃくしが、ひ、ふ……みっつ。
…………うん。
これ、間違いなく写輪眼だ。
「兄さん?」
さらさら髪の弟君の方が、立ち上がってこちらに歩き寄って来る音が聞こえる。
出来るだけ自然に、出来るだけ違和感無く……この場を離脱しよう。それがいい。
敵意が無い事を示すために放り投げた刀を持ち上げて、腰に差す。ずっしりとした重みに、内心で一息吐いた。
「あの、先程はありがとうございました。それから、この手巾も」
「いや。別に気にしなくていい」
出来るだけ自然に、自然に。
弟の方の黒髪少年が手にしていた血に濡れた赤い手巾を見つめて、申し訳無さそうに視線を下げる。
その姿からそっと視線を離して、そのまま二人に背を向けたまま元来た道へと歩き出す。
なるだけ自然に、さり気なく……よし、いける。
少年達が声がかけられないように、出来るだけ堂々と、それでいて速やかに。
しめしめ、これで離れられると……と、思った矢先。
「見つけたぞ、うちはの餓鬼共! さあ、その巻物を我らに寄越せ――って、お前は!?」
如何にも悪党です的な忍び装束の男が、草薮から飛び出て来た。なんで今出て来ちゃうかな、君!
おまけに、さっきからずっと目を逸らしていた事実を遠慮なく口に出してくれるし。本当にどうしてくれよう。
「何故千手の木遁使いがここにいる!?」
しかも人の素性をばらしやがって、この野郎!!
黒髪少年達が驚いた様な目でこっちを見てるし、黒髪少年(兄)の目の色が変わるし。
……いや、元から赤い目に変わってはいたけどね。
弟君の方も、こっち見ながら「え、あの人が」とか言ってるし。
「丁度いい! うちはに、あの千手の木遁使いをも倒したとなれば、一気に我らの名が上がるというもの! 運が悪かったな、小僧共!」
「やかましい、これ以上話すな!」
主に人様に関しての情報を!
怒りのままに、何かの術を発動させようと印を組
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