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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・発覚編<前編>
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こ木遁を完成させないと」

 そんでもって、自分が“柱間”でない事を証明するんだ!

 柱に打ち付けていたおでこを離して、小さく呟く。
 我ながら中々良いアイデアではないか、と一人悦に入ってしまう。

「姉者……。大丈夫ですか?」
「なんだ、弟よ。そんな心配そうな顔をして」

 何処ぞに行っていた弟が、救急箱片手に走り寄ってくる。
 短く揃えられた綺麗な銀髪に、ちょい吊り目な美少年だが、今回ばかりは顔色も悪く普段よりも幼く見える。

「――弟よ」
「なんでございましょう、姉者」
「お前の命名の儀は後何年後だ?」
「三年後でございますが、それがなにか?」

 ――確か“千手柱間”には弟がいたはず。
 某・忍者漫画内でおねえ口調の蛇忍者の手によって、ゾンビとして兄弟仲良く穢土転生されていたのを覚えている。
 あれ? あの弟も目の前の自分の弟同様に銀の髪に吊り目な顔をしていなかったっけ?

「如何なさいましたか、姉者。顔色がますます悪くなっておりますが」
「……大丈夫だ」

 黒目黒髪のアジエンスヘアーな自分と違い、弟は銀髪。――そう、銀髪なのだ。
 え? これってやばくない?

「うぇ……。なんだか吐き気がして来た」
「ええ!?」

 考え過ぎて気分が悪くなって来た。
 心配している弟の声を右から左に流しながら、必死に頭を回転させる。
 自分が「柱間」という名だったとしても、自分が“千手柱間”であると決定づけるにはまだ早い。

 ひとまず私がすべき事は、木遁の研究と弟の名前が「千手扉間」でないことを天に願うだけだ。

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