第174話
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「んでも、そんな事を言われてもボールがないだろ。」
呆れたように上条は言ったが、制理はスカートのポケットから握り拳大のボールを取り出すと、
「備えあれば憂いなしッ!!」
「いや、ボールの表面に『一日一〇〇回ニギニギするとα波が促進される健康ボール』とかって書いているぞ。」
「それもさっきの健康法でさらに相乗効果、とか書かれて買ったんだろうな。」
二人の発言に制理は気にしていない。
彼女はかなりやる気がまんまんらしく、片足でザシザシと地面をならしている。
ボールに対してキャッチャーミットがないのだが、上条は軍手を何重にもはめて厚々にすると、いかにも仕方がない感じである程度距離を取ってから屈み込み、制理のボールを受けるべく見よう見まねでキャッチャーぽく構えてみる。
ちなみに麻生はそれらに全く興味がなく、邪魔にならないように端に移動して黙々と雑草を抜いている。
案外、彼が一番真面目に罰則に取り組んでいた。
「さーどーぞー制理。」
上条のため息まじりの棒読みの声が出た。
「ようし上条。
時速一五〇キロの剛速球を見て腰を抜かすんじゃないわよ!!」
「フォークで一五〇キロ!?
そのハッタリに腰を抜かしそうだよ!!」
「あいつの頭の中ではそうなっているんだろうな。」
うろたえる上条。
皮肉を言う麻生。
制理の方は多少ノッてきたのか、白級を握り締め、ゆったりと身体を動かして振りかぶる。
力の『溜め』の段階だが、ここで上条は思わず声を張り上げた。
「すっ、すとっ、ストーップ吹寄!!」
「何よ!!」
投球フォームを途中で遮られ、制理はふらふらしながら叫ぶ。
しかし上条はストレートに発言する事がためらわれたため、核心を除いて告げた。
「スカート!!」
その言葉に制理は眉をひそめ、上条の視線の意味を探り、自分の腰の辺りを眺めて、短いスカートのまま振りかぶって膝を上げたため大きくめくれあがったソレと、その中身というか可愛らしい柄の下着を発見した瞬間、制理の剛速球が飛んだ。
タイミングを誤った上条のどてっ腹にゴム製の柔らかいボールが直撃し、ズパーン!!、というハードな音が炸裂する。
のたうち回って悶絶する上条は、ぶるぶると震えながらもこう言った。
「な、何がフォークだ。
思い切り真っ直ぐ飛んできたじゃねーか。」
「今のはナシッ!!」
自分の下着を見られたかもしれない、と思った制理は麻生を様子を窺う。
その麻生は興味が完全に無くなったらしく、適当に雑草を抜いている。
それを見てホッ、と安堵の息をつく。
もし見られたのなら恥ずかしさのあまり、ここから逃げ出している。
気を取り直して、制理は投球フォームに入るが、上条にスカートの事を指
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