第二十話 少年期B
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、みんなが元気になるような、おいしいクッキーを作ろうね」
「おう、いっちょ頑張ってみるか」
器具の準備も終わり、俺たちは服の袖をまくしあげた。
******
さて、クッキーづくりなのですが、それはそれはスムーズにいった。施設の厨房の一角を借りさせてもらい、俺たちは作業に入る。ここはこの建物の食堂でもあるので、そこそこスペースがあって広いのだ。
それにしても、やっぱ調理者が一緒にいるのといないのではかなり違うな。お姉さんの指示通りまずは生地を混ぜ合わせ、次に手で押しつけるようにまとめていく。生地をこねるだけなら俺でも問題なくできるな。
「ねぇねぇ、お姉さん。これ水をもうちょっと足したら、もち米みたいなもっちり感を表現できそうな気がするんだけど」
「気がするだけです。それ以上絶対に水入れないでね」
「ねぇねぇ、お姉さん。抹茶味とかもおいしそうだし、お茶混ぜてみてもいい?」
「お茶って…。ちょッ、ストップ! だから液体を生地に直接流し込もうとしちゃダメだよ!?」
「ねぇねぇ、お姉さん。こねこねの歌作ったから歌ってみてもいい?」
「全然いいです」
そんなこんなで生地作りは無事に終了。出来上がった生地を前に、アリシアと一緒に静かに息を吐いた。いやぁ、やればできるもんだねー。
その後はこねた生地をちぎって大きさを整え、同じ厚さに伸ばしていく。丸型や星形の型抜きを握りながら、クッキーの形もきれいに仕上げていった。それなりの人数がいるから、出来上がったクッキーの生地はかなりの数が必要だろう。オーブンも2、3回ぐらい使いそうだ。
「かんせーい!」
「おぉ、きれいな黄金色だな」
「おいしそうね。あとはデコレーションをして、お皿に並べましょうか」
そして数時間後。オーブンで焼きあがったクッキーに、俺と妹は目を輝かせる。こうばしい香りが部屋中に充満し、食欲を誘う。なかなかうまく出来上がったみたいだ。
俺たちはクッキングペーパーの上にクッキーを移し替え、チョコやパウダーを上からかけていく。妹はカラーシュガーを使い、鮮やかなクッキーを作っていた。型抜きで作ったものだけでなく、自分たちで切り取ったクッキーもある。そっちの方は多少形が歪だが、猫の形や犬の形など多種多様なものもあった。
「お、発見」
俺は探していた形を見つけ、チョコペンを手に取る。ほかのクッキーとは大きさが異なり、一回り大きなものとなっている。アリシアと協力して、密かに作っていたものだ。型を作ったのはアリシアだが、器用なものだ。
「お疲れ様。2人ともすごく頑張ったね」
「えへへ、お姉さんの教え方が、すごく上手だったもん」
「本当? ありがとう、アリシアちゃん」
完成したクッ
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