第二十話 少年期B
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
目をぱちくりとさせる。そして言われた内容に理解が行き届いたのか、慌てて母さんは声をあげた。
「ま、待って2人とも。お母さんはいいのよ。本当につい難しい話をしちゃっただけだから、全然気にしないで…」
「撫でボですね」
「撫でボです」
「止まる気が一切ない!?」
さすが母さん、その通りですよ。
******
俺は思ったんだ。何事も自分で始めて行かなきゃ、行動に移していかなきゃダメなんだって。家族で楽しんだ水遊びも十分に堪能した昨日。遊び疲れた俺と妹はその後ぐっすりと眠り、今日という日を迎えた。
母さんの話は確かに難しかったし、俺も同じことができるかって言われたらきっとできないことだと思う。それでも自分の思いを大切にして、そこから頑張って一歩ずつ手探りで歩いていく強さを教えてくれた気がする。
その行きつく先が必ずゴールになるかはわからない。必ず達成できるわけでは決してないだろう。原作の母さんの手は、届くことができなかったのだから。それでも、母さんの歩んできた道を俺は尊敬する。
迷ってもいい。躓いたっていい。うまくできるか思考を巡らせ続けるより、やってみなければ結果はわからない。そうしたい、と思った自分の心にまっすぐに向き合っていきたい。心新たに、俺はそう思えたんだ。
「……そして、そんなふうに考えて出来上がったのが、この物体Xです」
「アリシアちゃん、窓開けて換気! コーラル君はこれが作られた台所の安全確認! 猫ちゃんはお部屋の消臭剤くわえて持ってきて!」
俺、ここまで華麗な連携技を初めて見たかもしれない。
「……それで、今度は何をしようとしたの?」
お姉さんが消臭剤片手に部屋を清浄しながら聞いてきた。別に悪いことはしてないんだけどな。悩むよりもまずは一歩踏み出す勇気が大切だと思って、行動してみただけなんだけど。ちなみに物体Xは俺の目の届かないところへ逝ってしまった。
「お菓子を作ろうと思って」
「あれお菓子だったの!? 刺激臭漂ってきていたけど」
「昔お菓子を作っていたらレンジの中で爆発して、掃除したトラウマがあってさ。それ以来台所に立たないようにしていたけれど、それじゃあ俺は何も変わらない。だから勇気をもって前に進まなきゃダメだと思ったんだ!」
「それはできれば止まって欲しかった!」
勢いダメ、絶対! とお姉さんと約束させられました。後ろを振り向くことも大切だし、まずは現状を見てから前に進みなさいとのこと。1人じゃ無理なら誰かに頼ることも大切。どうやら俺自身、よくわからんテンションでやってしまっていたらしい。反省、反省。
とにかく料理だけはやめなさい、と言われました。でもね、お姉さん。自分でもなんであんなのができたのか不思
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ