第2章 真の貴族
第16話 極楽鳥
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封じられた状態のウィンディーネに、常態的に冷気を発生し続けて貰えたら、多少はマシに成りますかね。
それならば、先ずウィンディーネを起動させ、俺の周りに冷気を発生させる。そして、同時に余分な湿気もカット。
この方法では、確かに霊気の消耗が激しくなるけど、これは仕方がないでしょう。
そして、
「タバサ、すまんけど、少し持ち上げるで」
一応、そう最初に断って置くのですが、タバサ自身の答えを聞く前に、彼女の小さな身体をそっと抱き寄せて持ち上げて仕舞う。
一瞬、タバサの身体が緊張で少し身を硬くした。成るほど、いくら自らの使い魔とは言え、自分の身体を完全に預けて仕舞うのは流石に抵抗が有っても当然ですか。
……なのですが、俺が彼女に直接触れる事によって、かなり驚いたような雰囲気と少しの拒絶感が有ると言う事は、俺は、一応、彼女の中では使い魔で有りながら、多少は男性として認識されている部分も存在している、と言う事なんですね。
これは、少しは嬉しい事でも有りますか。
そんな俺的には重要な。それでいて、現状では全く意味の無い事を考えながら、タバサを抱き上げると同時に、地上から三十センチほど浮かび上がる。
そして、そのまま、ゆっくりと前進を開始する。しかし、タバサの使い魔に成ってから、俺は、俺の能力をかなり使用していますね。
これを続ける事によって、少しは霊力の総量が上がったら良いのですが……。
尚、前進を始めた事によって俺の意図を理解したのでしょうか。タバサが、俺の横顔を見つめる。
そして、
「ありがとう」
……と、短く告げて来たのでした。
☆★☆★☆
飛行……と言うか、空中浮遊移動を開始してから三十分ほど。距離にして四,五キロメートルは稼げたと思います。
但し、俺の霊力が大分、削られましたけど。
尚、当然のように俺の周囲にはシルフを起動させ、酸素を常態的に発生させる事によって高山病も防いで置く事も忘れてはいません。
何故ならば、たかが高山病と甘く見てはいけませんから。確か、生命に関わる可能性も秘めていたと思いますからね。
……って、これぐらいの事は、当然の事かな。
俺の記憶が正確ならば、普通の登山の場合は、ゆっくりと歩いて登る事によって低酸素状態に身体を慣らして行くのですけど、こんな山をゆっくり登っていたら、それだけで暑さと湿気によって、余計に体力を削られて行きます。
まして、この山はモンブランだと思います。地球の歴史で言うなら、公式に登頂に成功するのは十八世紀の最後の方となるはずの馬鹿でかい山。この山の山頂を目指すのに、酸素も準備せずに登るなんて、命知らずにも程があるでしょう。
もっとも、俺自身が数年前に高山病で寝込んだ事が有る
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