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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第16話 極楽鳥
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スの危険とかはないのか?」

 サウナ風呂の中で延々と登山をやらされている事に、流石に辟易としながら、少し先に立って、登山道……と言うかゴツゴツとしたむき出しの岩場で、少しでも進み易そうな場所を探しながら進むタバサに、そう質問を行う俺。
 それに、登山道が無いのは当然でしょう。そもそも、こんな熱い、サウナ風呂の中のような山に好き好んで登るアホは早々存在しては居ないと思いますから。

 まして、当然のように、火山性のガスが発生する可能性だって有ります。その上、火山性の岩が風化によって脆くなり、簡単に崖崩れのような状態を引き起こす可能性だって高いでしょう。
 尚、目的の極楽鳥が居るのは山頂の火口付近に成るみたいなので、ここからだと直線距離で行ったとしても10キロメートル近く有るはずです。

「大丈夫。この山で有毒ガスが発生した事はない」

 俺と同じように滝のような汗を流しながら、タバサはそう言った。表情だけは普段通りの表情で、周囲の熱や湿気を気にしている様子は見えないのですが。
 但し、その不快指数の異常に高い世界の中で、彼女が如何に涼しい風を装うとも、彼女の身体が汗を流し、体内から大量に水分と、ミネラル分を放出しているのは間違い有りません。

 ……って言うか、流石にこれは危険な可能性も有りですか。しかし、これだけ炎の精霊が多い場所でウィンディーネを召喚するのも難しい。

 それならば、

「タバサ。ここは、空を飛んで山を登る訳には行かないのか?」

 この火焔山(仮名)に登り始めてもう二時間。もう俺的に無理……と言うか、これ以上、タバサに水分を失わせる訳にも行かない。彼女は俺よりも、蓄えている水分や、ミネラル分の総量が少し少ないはずです。
 それに、確か身体から水分が大量に失われたら、血液自体の粘度が上がって、酸素を運ぶ能力が低下して、高山病のリスクが高まるはずですから。

 決してこれは、俺がラクをしたい訳ではないですよ。これは、彼女の体力を温存する為の処置ですから。

 タバサが振り返ってから俺をじっと見つめる。そして、

「この山には、その名が示す通り火竜が多く住み、迂闊に空を飛んで山頂を目指すと空中で火竜に襲われる危険性が有る」

 ……と答えてくれました。

 確かに、正面から相対した場合ならば、俺相手には、火竜と雖も早々襲い掛かって来る事は無いでしょうが、不意を突かれた場合は、火竜の方が俺の正体に気付く可能性が低くなるので流石に難しいですか。
 それに、この地熱が生み出す霧、と言うか蒸気みたいな物が、近寄って来る火竜の存在を消し、熱気が、その存在の気配を消す可能性も高い。

 ならば、超低空飛行と言うか、地上一メートル以内ぐらいの高さでタバサを抱え上げたまま飛び、俺の周りを青玉に
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