第2章 真の貴族
第16話 極楽鳥
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「極楽鳥の雛を密猟者から護る?」
俺の少し裏返った声で聞き返した質問に、無言でコクリとひとつ首肯くタバサ。
う〜む。何と言うか、タバサ自身は冷静なのでしょうけど、俺の考えからすると、それはガリア野鳥の会の会員の方の御仕事で有って、騎士のお仕事ではないと思うのですが。
もっとも、時代区分的に言うと中世ヨーロッパの国に過ぎないガリアに、そんな野鳥を保護するような組織が有るかどうかは知らないのですが……。
それで、夕食の最中に妙なフクロウが持って来た紙切れに書かれていた指令と言うのが、さっき俺が聞き返した内容らしいのですが……。
そもそも、ヨーロッパに極楽鳥など存在していたでしょうか。あれは確か熱帯に生息する鳥だったと記憶しているのですけど。
あのド派手な羽を持った、多彩な求愛のダンスを踊る鳥が。
それで、その指令を確認した翌日。火竜山脈と言う場所に移動する事に成ったのですが。
尚、明日は虚無の曜日とか言う、地球世界では日曜日に当たるお休みらしいのですが、それに合わせた日帰りが出来る任務では無いらしいです。
それに、そもそも、学院側もタバサの事情をある程度は知っているので、その任務に就いている間の授業に出ない事で後に補習などが科せられる事はないようですし、多少の成績などに関しての融通は付けて貰えるらしいのですが……。
このガリアの騎士の御仕事って、魔法の課外授業扱いに成るのでしょうかね。
「それで、その火竜山脈と言うのは、何処に有るのでしょうか」
一応、真っ当な質問を行う俺。……と言うか、少々投げやりですね。この台詞は。
何故ならば、ヨーロッパの地図をざっと頭に思い浮かべてみて、更に、フランス近辺で大きな山脈と言うと、俺には候補がひとつしか思い浮かばないのですが……。
「ガリアとロマリアの国境付近」
タバサが何でもない事のようにそう告げる。
成るほど。矢張り、アソコの事ですか。地球世界で言うトコロの、アルプス山脈と言うトコロの。モンブランとか、マッターホルンとか。
但し、富士山よりも高い山ですよ、そいつらは。
「せやけど、そんなトコロに行くんやったら、ハイキング気分と言う訳には行かないでしょうが。どう考えたって、氷河が有るはずやし、無かったとしても冬山登山に近い装備は必要やと思うのですけどね」
季節は間違いなく四月の半ば。これは、凍死覚悟の御仕事だと思うのですが。魔法や仙術。それに式神たちが居なければ。
……って言うか、この魔法学院が有る場所がベルギーだったとして、アルプス山脈に辿り着くまでどれぐらいの距離が有るって言うのですか。
しかし、タバサは首をふるふると横に振る。そして、
「先ず、リュティスにまで移動して、そこで風竜が借り
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