無印編
第二十話 裏 後 (クロノ、レイジングハート、リンディ、なのは)
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直なのかもしれない。どちらにしても、クロノにしてみれば、好機以外のなにものもでもなかった。
それは、彼にしてみれば、珍しく勝利を焦ったのかもしれない。未だになのはから発せられる魔力に恐れ、一刻も早くこの模擬戦に幕を下ろしたいと焦った結果なのかもしれない。いつもの彼なら、気づいたかもしれない。だが、今の彼は、それらの理由から普通ではなかった。普通であろうとしていたが、心のどこかで焦っていた。だからこそ、気づかなかった。
空中のクロノが取るであろう進路すべてに仕掛けられたバインドの数々に。
ビシッという音と共にクロノの両手、両足が動かなくなる。そのまま、まるで磔にされたキリストのように無防備に体を晒す。
―――バインドっ!? 何時の間にっ!?
そう、時間はなかったはずだ。アクセルシュータからクロノが突撃するまでは。もし、可能であったとすれば、アクセルシュータを放ちながら同時並行でクロノの進路にバインドをばら撒いたとしか考えられない。
―――そんな、ばかな……。
クロノは、なのはの魔法のセンスに戦慄した。いくら、魔力が大きかろうとも彼女は魔法とであって一ヶ月の素人であるはずだ。それが、あれだけの量のアクセルシュータを操り、また同時にバインドすら仕掛けるという執務官の彼をして戦慄させるほどの魔法技術。それらを成した少女だった女性が笑みを浮かべてバインドで磔にされたクロノに近づいてくる。
クロノはその笑みに嫌な予感を覚えた。
彼の執務官としての本能が、魔導師としての本能が、いや、もっと原始的な人間の獣の本能が、彼女に対して最大限の警告を送ってくる。
―――拙い、拙い、拙い、拙い。
焦りばかりがこみ上げてきて、がちゃがちゃ、と魔力をこめた両手でもがいてみるが、SSSの魔力という文字通り桁違いの魔力で作られたバインドはクロノの魔力程度ではびくともしなかった。そんな彼をあざ笑うようになのはは、まっすぐクロノに向けて彼女の杖を構える。
「いくよ、レイジングハート」
―――All right.My Master.
彼女の杖が応えた瞬間、彼女の魔力が急激に高まる。今まで、彼が相対した魔導師の誰よりも高い魔力だ。
「ディバィィィィン」
もはや冷や汗が流れるなんて悠長な段階はとうに通り過ぎていた。その魔力の高まりは、ある種の死刑宣告だ。それを前にして生きた心地がしない。しかも、両手両足がバインドで拘束されていれば、尚のことだ。無駄と悟りながらも未だにバインドの拘束から逃れようともがくクロノの脳裏に何故か、今までの半生が走馬灯のように流れていた。
「バスタァァァァァァァッッッ!!」
それは、桃色の光の濁流というべきだろう。視界を埋め尽くす圧倒的な力が
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