無印編
第二十話 裏 後 (クロノ、レイジングハート、リンディ、なのは)
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頭がよくなくてもいいよ。身体が動かせなくてもいいよ。僕がなのはちゃんと友達になったのは、なのはちゃんだからだよ。だから、魔法で負けても気にしなくてよかったんだ」
―――嘘だ、嘘だ、嘘だ、うそだ、うそだうそだうそだ。
なのはは、翔太の言葉を否定する。なぜなら、翔太の言葉を肯定することは、今までのなのはの考えを否定するものだからだ。それで友達ができるなら、なのはが一人も友達がいないのはおかしいからだ。
だが、その一方で、翔太の言葉を信じたい自分がいた。
だから、なのはは掠れたような声で翔太に確認する。
「ほんとう、なの?」
否定して欲しかった。今までの自分のままでいられるから。
肯定して欲しかった。翔太を信じたかったから。
相反する感情がなのはの中に浮かぶ。両者を望みながら答えを待つなのはに翔太は笑って答えた。
「うん。だから、クロノさんに負けても何も心配なんていらなかったんだ。それでも、僕となのはちゃんは友達なんだから」
―――何も心配いらない? 魔法に負けてもよかった? 何もなくてもよかった?
「それじゃ、ショウくんとずっと一緒にいられるの?」
そう、そういうことだ。魔法がなくなれば、なのはが翔太に勝るものは何もない。それでも友達でいてくれるということは、なのはとずっと一緒に友達でいてくれるということだ。そして、その問いに翔太は、やはり笑顔で答えてくれた。
「うん」
笑顔で応えてくれる翔太に甘えるように次々と欲望が浮かんできた。ずっと友達であるなら、可能であろうことだ。それらを確認するように一つ一つなのはゆっくりと口にした。
「一緒にお弁当食べてくれる?」
―――あの翔太と親友を称する二人のように。
「うん」
「一緒に手を繋いでくれる?」
―――いつか見た友達同士のように。
「うん」
「一緒にお風呂に入ってくれる?」
―――あの敵だった少女のように。
「いや、それは」
今まで笑顔で答えてくれた翔太だったが、急に顔が曇った。
その表情を見て思う。やはり、そんな都合のいいことなんてなかったのだ。今まで応えてくれたのは、翔太なりの慰めだったのだろう。だが、それでもなのは満足だった。慰めであろうとも、翔太が自分を心配してくれたのだから。
だが、それでも、やはり悲しいものは悲しいが。
「ああ、うん、うん、いいよ」
だが、すぐに翔太は肯定してくれた。なのはが望んだことを、友達として望んでいたことを肯定してくれた。ここまで応えてくれてようやくなのはは、何もないなのはと友達になるという翔太の言葉を信じられるようになった。
嗚呼、嗚呼、となのはの心が歓喜で打ち震える。
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