無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
[10/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
から落ちることはなかったが。
「い、一体、何が起きたんだい?」
独り言のように言ってみるが、誰も答えてくれない。食堂なだけあって、調理場はより混乱している様子で、誰に聞いても分かりそうになかった。片づけを手伝おうかとも思ったが、職員でもないアルフが手伝えることはなく、できることといったら、食器を片付けることぐらいだった。
艦が大きく揺れ、アルフが食堂を出た後、管制塔と連絡が取れず、仕方なく直接出向くしかないか、と向かっていると偶然にもこちらに走ってくる翔太と出会うことができた。
「翔太、どうしたんだい?」
「あ、アルフさん」
走りながらも、息を切らしていない翔太を呼び止めたアルフは簡単に事情を聞いた。
こんなにも大きな艦を揺らすあの少女に驚いたものだが、彼女は、あの暗い瞳を持つ少女だ。揺らすほどの魔法が使えたという事実にはあまり驚くことはなかった。それはともかく、翔太が今日はこの艦であの少女を看るというので、アルフは着替えと両親への連絡係を買って出た。転移魔法を使えるアルフは、その役目にうってつけだからだ。
通信で艦長であるリンディに了解を得ると、アルフはトランスポートの近くで翔太と待っていた恭也たちと合流して、翔太の家へと帰宅した。その後、翔太が時空管理局という艦に泊まることを告げ、着替えを準備して、再びアースラへと向かった。着替えをさっさと渡したアルフはとっとと蔵元家へ帰宅。翔太の父親、母親、フェイトと一緒に晩御飯を食べ、フェイトと一緒にお風呂に入ったとはあっという間に就寝の時間になってしまった。
「………ねえ、アルフ」
「ん? なんだい、フェ、アリシア」
いつもの部屋で布団に横になり、フェイトの髪を手櫛で梳きながら、アルフは優しい笑みでフェイトに応える。
「今日はお兄ちゃんいないの?」
いつもなら、布団に横になっているのは翔太、フェイト、アルフの三人だが、今日はフェイトとアルフだけだった。どうやら、フェイトはそれが寂しい様子だった。だが、それは仕方ないことだ。翔太が向こうを選んだのだから。本当ならフェイトを選んでこちらに来て欲しいという思いもあったが、あの状況で友人を放っておく翔太は翔太ではないような気もした。
「翔太は、別のところだよ」
「どうして? お兄ちゃんも一緒がいいよ」
さて、どうしよう?
アルフは素直なフェイトに弱い。たとえ、今はアリシアと名乗っていようとも、彼女はフェイトなのだから。
フェイトがお兄ちゃんと一緒がいいというのは、やはり寂しいからだろうか。翔太をつれてくることはできない。だから、アルフはせめてもの寂しさを紛らわせる意味で、ぐっ、と抱き寄せ、その豊満な胸の中にフェイトを抱き寄せた。
「明日からは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ