無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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シアは受け入れることができなかった。だから、プレシアは、あんなに慕うフェイトを虐げた。そして、最後にはジュエルシードを集めることができなかったフェイトをゴミのように捨てた。
それが、アルフが想像した筋書きだ。
「巫山戯るな。巫山戯るなっ!!」
アルフは怒っていた。自分勝手にフェイトを生み出し、自分の思い通りにならなかったからといって、虐げ。最後まで奴隷のように扱い、ゴミのように捨てたプレシアに。
「あの子が……あの子が何をしたって言うんだいっ!!」
フェイトは、ただ生み出されただけだ。ただ、それだけ。フェイトがプレシアを母と慕うことに嘘はなかったし、彼女がプレシアの笑顔を見るために頑張っていたことを使い魔であるアルフは誰よりも知っていた。だが、それを一切見ることなく、プレシアはフェイトがアリシアではない、という事実のみで否定した。フェイトをゴミのように捨てた。
アルフにとって絶対に許せないことだった。
だが、その怒りの裏で、その事実を知ってしまったアルフは、逆に捨てられてよかったのではないか、とも思った。あのまま、プレシアの元で虐げながら生きるよりも、今のように翔太の家で笑って過ごせている今のほうが幸せではないか、と思った。
「そうだ。あの子は、幸せになるべきなんだ」
今まで不幸だったから、というわけではない。だが、誰にだって幸せを求める権利はあるはずだ。望む権利はあるはずだ。そして、アルフの幸せはフェイトが笑っていること。だから、アルフは自分の幸せのために決意を新たにした。
それは、使い魔になったときから続く決意だが、その決意をさらに強くする。
「あの子は絶対、あたしが護る」
そう、もうプレシアとは無関係なのだ。プレシアが許せないのは変わりない。だが、もう関係ないやつに怒りを抱くのはエネルギーの無駄だ。今は、フェイトの幸せのみ。ただ、それだけを求めよう。そして、その過程で絶対にフェイトを傷つけない。護りきってみせる。それが、アルフの新たな決意だった。
アルフが決意を新たにした後、プレシアに対する怒りでエネルギーを使ったアルフは、クロノに言われたとおり、食堂へ向かい、クロノの名前で軽食を取った。
軽食というだけあって少量の食事をぺロリと食べ終えた後、翔太たちの話し合いは未だ続いているのだろうか。終わった後には連絡をもらえるように管制塔の人に告げてあるから大丈夫だと思うが、と心配しているところに突如、館内放送が響いた。
『総員っ! 対ショック姿勢っ!!』
いきなりなんだっ!? と思った次の瞬間、時空空間にいるはずの船が大きく揺れた。幸いにして注文していた食べ物は、食べ終わっていたから問題はなかった。アルフ自身は、何とかテーブルにしがみつき、椅子
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