無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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名前は、フェイトが現在使っている名前だからだ。ならば、フェイトは最初から偽名だった? アリシアが本当の名前だった? だが、それではやはり腑に落ちない。なぜ、フェイトという名前を使う必要がある? 普通に娘なら最初からアリシアでいいはずだ。だが、プレシアも、教育係のリニスもフェイトという名前を使っていた。
不可解だ。ならば、その先にさらなる事実があるはずだ。
アルフが落ち着くのを待ってくれていたのか、クロノはアルフが先を促すように目を合わせたのを皮切りにしてさらに言葉を続ける。
「その娘、アリシア・テスタロッサは、26年前、次元航行エネルギー駆動炉ヒュウドラの暴走事故により死亡が確認されている」
「は?」
クロノの言葉に理解が追いつかず、アルフは疑問の声を上げてしまった。アリシアが死亡しているというのなら、今のフェイトは一体、何者だというのだろうか。だが、今度はアルフが落ち着くのを待ってくれない。まるで、その先にアルフが求める答えがあるといわんばかりに。
「アリシア・テスタロッサが死亡した後、プレシア・テスタロッサは、いくつかの研究で成果を上げている。そして、最後に携わった研究は、使い魔以外の人造生命体の創生。そのプロジェクトの名前は―――F.A.T.E、だ」
クロノの口から次々と出てくる信じられない事実にアルフは呆然としてしまった。心の整理がつかない。人造生命体? F.A.T.E? なんだ、それは? なんなんだ、それはっ!?
アルフの胸のうちはプレシアに対する憤りで一杯だった。
「……話は以上だ。ご協力に感謝します」
そのアルフの胸の内が理解できたのか、クロノは話が終えたことを告げると、立ち上がり、部屋から出て行こうとする。部屋から出て行く直前、クロノから告げられた事実によって呆然としていたアルフに背後から声をかける。
「君も色々と考えることがあるだろう。ここは自由に使ってくれて構わない。何か飲みたいなら食堂へ行くといい。僕の名前を出してくれれば、飲食はできるはずだ。地図の端末はゲスト権限で使えるようにしておく」
それだけを告げると、クロノは部屋から出て行った。おそらく、アルフを一人にしておくのが彼なりの優しさなのだろう。事実、それは一人で考え事をしたいアルフにとっては有り難かった。何も雑音が入らず、今はただ、一人だけで考えたかった。
暗い部屋に取り残されたアルフは、一人考える。
クロノの話が事実なら、フェイトは、アリシアではないはずだ。それにフェイトが錯乱したときに言う『贋物』の意味も分かる。筋書きとしては、プレシアが、アリシアを求めてフェイトを作ったということだろう。だが、フェイトはアリシアではなかった。フェイトはフェイトだった。
だが、それをプレ
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