無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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、処遇に関することならアルフに告げるべきだろうし、機密なら告げるべきではない。ならば、微妙なことなのだろう。つまり、今のアルフの話の中でアルフが知ることがないフェイトの秘密とか。
アルフは、自分が知らない事実が何かあることを知っていた。なぜなら、現状に対してピースが足りないからだ。確かにあんなに慕っていた母親に捨てられたことはショックだろう。だが、それだけであんな症状になるだろうか。それに、分からないことが色々ある。
フェイトが名乗っている『アリシア』とは誰なのか。フェイトが言う『贋物』とは? 『ゴミ』とは? 分からないことだらけだ。
だから、アルフは、アルフが知らない事実こそが、これらの言葉を解明するための鍵だと思っていた。そして、それを目の前の青年は知っているのではないか。持ち前の獣の本能と女の勘で、その辺りを嗅ぎ取っていた。
「教えてくれよ。フェイトに関することなら知っておきたい」
「………本当にいいのかい? もしかしたら、開かないほうがいい箱なのかもしれないよ」
「それでも、だ。あたしは、フェイトの使い魔なんだから」
そう、アルフはフェイトの使い魔だ。たとえ、今、彼女がアリシアと名乗っていようとも、その事実は変わらない。あの結んだ契約が未だに有効である以上、アルフはフェイトの使い魔なのだ。使い魔は、主の分身。だからこそ、アルフはフェイトのことを知って起きたかった。
アルフの真剣な表情が伝わったのか、クロノは何かを考えるように一度目を瞑った後、再び口を開いた。
「分かった。心して聞いてくれ」
まるで、覚悟を促すような言葉にアルフはゴクリと緊張しながらつばを飲み込むと続きを待った。
「単刀直入に言おう。プレシア・テスタロッサにフェイトという名前の子どもはいない」
「は? ちょ、ちょっと待ってくれよっ! どういうことだい!? フェイトは、確かにいるよっ!」
「君がいることからも、ユーノの話からも彼女の存在は確認している。顔写真でも確認を取った。だが、それは記録上、ありえないんだよ」
クロノの言葉に得体の知れない恐怖を感じる。それ以上、踏み込んではいけないと、使い魔になりながらも若干残った獣の本能がその先を聞くな、と警告する。だが、だが、フェイトを護る以上、避けては通れない道だ、とアルフは危険と知りながらもさらに一歩踏み込んだ。
「ど、どういうことなんだい?」
「プレシア・テスタロッサに確認された子どもはただ一人だけだ。そして、その子どもの名前は―――アリシア・テスタロッサ」
これが写真だ、と差し出された書類には、確かに今のフェイトよりも少し幼い感じの少女が写っていた。
その名前を聞いたとき、アルフの全身から力が抜けた。なぜなら、その
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