無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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そう、アルフが望むのはただその一点のみだ。この場にいるのはフェイトが笑って過ごせる未来を手に入れるためだ。そうでなければ、アルフは時空管理局なんてものに目をつけられる前にフェイトと一緒に逃げていただろう。今、この場にいて、プレシアのことを話そうとしているのは単にフェイトが笑っている今を未来まで続けるために過ぎない。
それはクロノも分かっているのだろう。アルフの確認に大きく頷いた。
「ああ、約束しよう」
アルフは、クロノを信じられるか? と思ったが、信じなければ、話は続かない。なにより、翔太に確認した限りでは、誠実そうな人だから大丈夫という太鼓判を貰っている。ならば、その翔太の人を見る目を信じてみようと思った。
「分かったよ。あんたを信用するよ。それじゃ、話そうか」
―――プレシア・テスタロッサについて。
アルフは、ご主人様であるフェイトの母親のプレシアを時空管理局に売るように情報を渡したことについて、良心呵責も何も感じなかった。そもそも、アルフは、フェイトをいじめるプレシアが嫌いだったのだ。プレシアのことを話すことが、フェイトの幸せに繋がるのなら、そこに躊躇も何もなかった。
それから二十分ばかり、アルフは、間にクロノの質問を受けながらプレシアについて話した。
「―――というわけで、あたしたちは、翔太の家に厄介になってるのさ」
「なるほど、な」
クロノは、アルフのほうを見ずに手元の書類に目を落としながら、アルフの話に納得したような言葉を零した。
アルフの予想が正しければ、クロノが持っているのは時空管理局が調べたプレシアに対しての情報であるはずだ。アルフが獅子身中の虫ではないか、と疑うことに不快感を覚えない。なぜなら、それが正常な感覚だろうから。無条件に相手を信頼することは尊いとは思うが、愚かであることには違いないのだから。
さて、それはともかく、クロノが納得したような言葉を零したということは少なくとも、アルフが今、話した内容は信じてもらえたようだ。これからクロノは一体どういった反応に出るのだろうか、とアルフがクロノの様子を伺っていると、不意にクロノは、書類から目を離し、アルフをまっすぐと見つめてきた。その黒い瞳に浮かんでいるのは、迷いだろうか。
「どうしたんだい?」
圧倒的強者は、クロノだ。そんな彼が、何かに迷うということが信じられなくて、アルフは、先に口を開いてしまった。
アルフに心配をかけてしまったことを悔やんだのか、クロノは、一つ大きなため息を吐いて、はっきりアルフを見ながら口を開いた。
「君に話すべきか迷っている事項が一つだけある」
「フェイトに関わることかい?」
アルフの問いにクロノは、間髪いれず頷いた。
もしも
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