無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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、それは朗報以外の何ものでもなかった。
だから、なのはは、その提案を喜んで快諾する。
「うん。うん、もちろんだよっ!」
久しぶりに自分でも笑顔になれた瞬間だと思った。
同時に胸に宿る決意。それは、次は絶対に負けられない、というなのは自身への誓いだ。こんななのはに期待してくれる彼のために無様な真似は見せられない。昨日、禁忌ともいうべきものに手を出してでも手に入れた力もある。だからこそ、なのはは絶対にもう負けることは許されていなかった。
◇ ◇ ◇
アルフが案内された部屋は、隣の部屋のように純日本風になった部屋ではなく、普通の机と椅子がおいてある部屋だった。執務官のクロノが先に座り、アルフは、クロノに促されるままにクロノの対面の席に座った。
アルフは、時空管理局の執務官を前にして緊張していた。当たり前だ。相手は、あの時空管理局の執務官で、アルフが命を投げ出す覚悟で、戦いを挑んだとしても万が一にでも勝てる可能性はないだろう。
「そんなに堅くならなくてもいいさ。今日は本当に話を聞くためのものなんだから」
まあ、話の前にこれでもどうぞ、とクロノは、緊張しているであろうアルフのために隣の部屋で翔太たちが飲んでいるとお茶と甘い茶菓子を一緒に出した。
本当に手を出してもいいものだろうか、と悩んだアルフだったが、クロノを見ても、手元の書類を確認しているだけで何も話そうとする素振りは見せない。つまり、本当にアルフが少し落ち着くまで何かを話すつもりはないのだろう。
ならば、遠慮することもないか、とアルフはお茶菓子の一つを手にとって口に運ぶ。それは、どちらかという苦味のあるお茶を紛らわすための甘いお菓子だったが、それがアルフの舌にあったのか、非常においしく感じた。つい最初の一口がおいしくてパクパクパクと一気に口にしてしまう。
思わず目の前の執務官を忘れて口にしていたが、お皿の上にあるお菓子が全部なくなり、お茶で一息ついた時、ようやく執務官のクロノの顔が入ってきた。彼はまるで信じられないものを目にしたように驚いたような表情をしていた。
それに気づいて、アルフは顔を赤くしてしまう。敵地と言ってもいい場所で、暢気にお菓子を口にしていれば、それは驚きもする。しかも、先ほどまではクロノにびびっていたという事実があれば、殊更だ。
しかし、それを緊張を解すという観点から考えれば、いいことだったのかもしれない。事実、クロノも苦笑を隠そうとはしなかったが、アルフが座るだけでは開こうとしなかった口を右手にペンを持ちながら開いたのだから。
「さて、それじゃ、君が知っていることについて話してくれないか?」
「その前に、フェイトの保障はしてくれるんだろうね?」
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