無印編
第二十話 裏 前 (なのは、アルフ)
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やはり昨日負けたのが拙かったのだ。負けたから、翔太はなのはではなく、時空管理局を選んだ。だが、だがしかしである。なのはの手の中には昨日なかったものがある。これがあれば、昨日負けたあの黒い人にも負けない自信がある。それだけの力を手に入れた自負がある。
だが、それを翔太に言って納得してもらえるだろうか。ただ負けないだけの力を手に入れたといっても、証拠を示さなければ、それはただの戯言に過ぎない。それで翔太が納得するとは到底思えない。だが、それを考えるならば、翔太に力を見せる機会は一回しかない。
いや、何を恐れる必要がある? 今度は負けない。負けれらない。負けないだけの力はすでにこの手に。
なのはが、いかに翔太に自分に魔法の力を示すことを考えている最中に、翔太はなのはが考えているなにかを勘違いしたのか、不意に優しい笑みを浮かべると、切り出してきた。
「ねえ、なのはちゃん」
「な、なに?」
どうやって、力を示そうと考えている最中に声をかけられれば、さすがに驚く。だが、その次の言葉がよりなのはに驚きを与えた。
「ジュエルシードの件から手を引いたら僕に魔法を教えてくれないかな?」
「魔法を?」
翔太の提案を不思議に思う。なぜなら、魔法の先生という立場ならユーノという存在が既に翔太にはいるからだ。それになのはの先生とも言うべき存在はレイジングハートのみであり、なのはが先生といわれる立場になるにはまだまだ実力不足のように思えたからだ。
「うん。ユーノくんが先生をやってくれたおかげで、プロテクションとチェーンバインドは使えるようになったんだけど、まだまだ使える魔法もあると思うんだ。この世界では、生きていく上では必要ないかもしれないけど、こういうのが使えるのは夢なんだよね」
そこで翔太はいつも大人びたような落ち着いた笑みではなく、悪戯を考えるような子どものような笑みを浮かべた。その表情は、翔太が浮かべるにしてはかなり珍しいもので、なのはからしてみれば、不意に滅多に見られない翔太の表情が見られて嬉しい限りだった。
「でも、ユーノくんも時空管理局の人も帰っちゃうから、なのはちゃんしかいないんだ。だから、僕に魔法を教えてくれないかな?」
嗚呼、嗚呼、となのはの心は翔太の言葉を聞いて歓喜に震えていた。
翔太は期待してくれる。昨日、あんなに無様に負けてしまったにも関わらず、翔太は魔法に関してまだ、なのはに期待してくれているのだ。それを喜ばずしてどうするというのだろうか。ゆえに、なのはの胸の内は、翔太に未だ、魔法に関しては期待されている事実に歓喜で一杯になっていた。
時空管理局が来てしまったら、魔法に関して用済みになったら、もう、必要とされないと思っていたなのはからしてみれば
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