無印編
第二十話 後
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ショウくんみたいに頭よくないし、ショウくんよりも身体が動かせるわけじゃないし、ショウくん見たいにみんなから頼りにされているわけじゃない。私には、魔法しかショウくんに頼られることないの。だから……だから……負けられないの。魔法だけは」
それは、なのはちゃんの独白だったのだろう。もしも、恭也さんからなのはちゃんの背景を知らなかったら、僕は彼女の独白の意味が分からなかったのかもしれない。だが、恭也さんから事情を聞いている今、僕は彼女が言っている意味が理解できた。
なのはちゃんの最初の友達が僕だった。
ならば、それよりも以前はどうだったのだろうか。なんの努力もしていなかった? そういうわけではなかったのだろう。だが、それでも友達ができなかった。その原因をなのはちゃんは自分自身に感じてしまった。何もできないから。さらに、僕という友達ができた切っ掛けが魔法だったというのも彼女の考えに拍車をかけたのだろう。
だが、それは、間違いだ。なのはちゃんが言うことは、つまり、友人に理由を求めているのだから。例えば、あいつはお金持ちだから、宿題を写させてくれるから、大きなグループの取りまとめだから、そんな理由で、友人になるのと変わらない。友人に利益を求めている。もしかしたら、もう少し大きくなれば、そんな中で友人を作ることになるだろう。
しかし、僕たちはまだ小学生だ。小学生なのに、そんな理由で友人になるなんて悲しすぎる。せめて、子どもといえる年のうちは何の考えもなく、何の理由もなく友人を作ってもいいのではないかと思う。だから、僕は、なのはちゃんは考えを改めるべきだと思った。
「はぁ、なのはちゃん、僕がなのはちゃんと友達になったのは、魔法が使えるからじゃないよ」
「え?」
「魔法の力はもしかしたら切っ掛けかもしれない。だけど、それにこだわったつもりはないよ。僕よりも頭がよくなくてもいいよ。身体が動かせなくてもいいよ。僕がなのはちゃんと友達になったのは、なのはちゃんだからだよ。だから、魔法で負けても気にしなくてよかったんだ」
僕の言葉を聞いて、なのはちゃんは驚いたような表情をしていた。もっとも、魔法のおかげで僕と友達だったと思っていたなら、それは根本から考えを覆すものなのだから仕方ないだろう。
「ほんとう、なの?」
やや震える声で、訪ねてきたなのはちゃん。信じられないのも無理はないのかもしれない。ここ一ヶ月はそのつもりだったのだから。だが、それは間違いなのだと教えるために僕は、頷いた。
「うん。だから、クロノさんに負けても何も心配なんていらなかったんだ。それでも、僕となのはちゃんは友達なんだから」
「それじゃ、ショウくんとずっと一緒にいられるの?」
「うん」
「一緒にお弁当食べてくれる?
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