無印編
第二十話 後
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近いものだった。泣くという行為は意外と体力を使うのだ。だから、また眠くなったのかもしれない。
「なのはちゃん、眠いなら寝たほうがいいよ」
起きていてもやることがない。ならば、なのはちゃんの体力を考えても寝たほうがいいだろう。なのはちゃんのこともこの後、来る予定の恭也さんたちにも知らせないと拙いだろうし、一度外に出る必要があるかもしれない。そう考えていたのだが、不意に袖を引かれたような気がした。
「なに? なのはちゃん」
よく見ると寝る体勢になったなのはちゃんが僕の袖を引いているだけだった。何か用事があるのだろうか? と思って尋ねてみると、なのはちゃんは、とんでもないことを口にした。
「あのね……一緒に寝よう?」
「えっと、それは……」
まさか、家でアリシアちゃんといわれたことと一緒のことを言われるとは思わなかった。ここで拒否することは簡単だ。だが、拒否すれば、また、なのはちゃんは泣きそうな表情に顔をゆがめるのだろう。それを考えると事実上、拒否権はないのと同じだった。
「はぁ、分かったよ」
僕がそう答えるとなのはちゃんは、嬉しそうな顔をして、少しだけ僕のためにスペースを空ける。幸いにしてというか、なんというか、この部屋のベットは、子どもの僕らからしてみれば、大きすぎるもので二人で寝るには丁度いいものだった。僕は靴を脱いで、なのはちゃんの布団の中にお邪魔する。せめての抵抗で僕は天井を見ることにした。
「それじゃ、なのはちゃん、おやすみ」
「うん、ショウくん、おやすみ」
まるで安心したような声のおやすみ。しかも、よほど眠かったのだろうか、その後、すぐにすぅ、すぅ、という寝息が聞こえてきた。
もう少ししたら、出て行って恭也さんたちを迎えようと思っていた僕だったが、服が掴まれている僕には、このベットから出られる術はなかった。恭也さんが来たら助けてもらおうと思ったのだが、驚いたり、色々と僕も疲れていたのかもしれない。なのはちゃんが眠りに入った数十分後、僕もまた夢の世界へと旅立つのだった。
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