無印編
第二十話 後
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」
「うん」
「一緒に手を繋いでくれる?」
「うん」
「一緒にお風呂に入ってくれる?」
「いや、それは」
流れで、うん、と言いかけたが、言葉の内容を考えるとさすがに拙いと思い、頷くことはできなかった。だが、それを口にした瞬間、なのはちゃんが、やっぱりといった感じで表情を歪めるので、僕は慌てて訂正せざるを得なかった。
「ああ、うん、うん、いいよ」
再び笑顔。肯定した瞬間に何かを売り渡したような気がしたが、気にしないことにした。
僕が肯定した後、それが全部だったのだろうか、なのはちゃんは、何も言わなくなった。だが、笑顔を僕に向けたまま、その大きな瞳から小さな雫を流し始めた。言うまでもなく涙だ。それは一つ流れ出したのを皮切りに次々と雫が流れ始めた。
「なのはちゃん、泣いてるの?」
「あ、あれ?」
僕の指摘で初めて気づいたようになのはちゃんは、急いで袖で涙を拭う。だが、それでは間に合わないほどに次から次に涙は流れる。最初は拭っていたなのはちゃんだったが、やがてダムが決壊したように声をあげて泣き始めた。
これは、放っておけないと思った僕は、なのはちゃんが寝ているベットの上に上がり、なのはちゃんを抱きかかえるようにして背中を何度か叩いてやった。なのはちゃんが泣いた理由はよく分からない。もしかしたら、僕の言葉が何かしらの琴線に触れるものだったのかもしれないし、利益による友人じゃないことに安心したのかもしれない。
その涙がうれし涙だとしても、泣いているときは人肌が安心できるものだ。だから、何も言わず、僕はなのはちゃんの背中をぽんぽんとあやすように叩きながら泣き止むのを待っていた。
なのはちゃんが泣いていたのは、どのくらいの時間だっただろうか。ずっと胸を貸していたものだからよく分からない。だが、それだけの時間を掛けただけあって、ようやくなのはちゃんは泣き止んでくれた。
泣き止んだのを確認して、僕が離れると、なのはちゃんは目を真っ赤にして、照れたように笑っていた。
「え、えへへ……」
「もう、大丈夫?」
僕の問いになのはちゃんはコクリと頷いてくれた。
「ふぅ、よかった」
それで、話が途切れてしまった。別に話すことがないからだ。とりあえず、なのはちゃんが変身した理由が分かったが、これを話すのは明日になるだろう。少なくともことが大きすぎる。まさか、ジュエルシードを使っていたなんて。非常に拙いような気がする。何とか、矛先を逸らせないか考えておく必要があるかもしれない。
そんなことを考えていて、無言の時間があったからだろうか、思考の海から再びなのはちゃんを見てみると、半ば舟をこいでいた。そういえば、なのはちゃんが寝ていた理由は寝不足に
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