無印編
第二十話 前
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容を履行します、といったような内容だった。それにサインが終わった後、リンディさんとエイミィさんが深々と頭を下げた後、僕たちも釣られるように頭を下げた。
ともかく、これで終わりだ。ジュエルシードに関することは、全部終わったと思っていいだろう。残り11個のジュエルシードがあるが、それらを回収するのはクロノさんたちの役割だろうし、僕たちの出る幕はないはずだ。
命を狙われたところから始まったジュエルシードに関する事件は、結局、僕に魔法という存在を教え、なのはちゃんやユーノくんという新しい友人とアリシアちゃんとアルフさんという新しい家族を迎え入れられた実りあるものだったんじゃないかと思う。
「それじゃ、なのはさん。私たちにジュエルシードを渡してもらえるかしら?」
すべてが終わった後、なのはちゃんにリンディさんは、手を差し出してジュエルシードを求める。当然だ。彼らはこれを求めて、これを正式に手に入れるために話し合いを行ってきたのだから。
だが、なのはちゃんは無言。リンディさんの求めに応えることはなかった。
「なのはちゃん?」
さすがに僕も不審に思って声をかけるが、やはり反応はない。少し間をおいてもう一度声をかけようと思ったとき、なのはちゃんは俯いていた顔を上げて、覚悟を決めたような顔つきをして口を開いた。
「ジェルシードを渡す前にもう一度……もう一度だけあの人と戦わせてください」
「なのはちゃんっ!?」
なのはちゃんの小さな桃色の唇から紡ぎだされたのは、僕を驚かせるのに十二分な内容だった。まさか、もう一度クロノさんと模擬戦をさせろなんて。一体、何を考えているのだろうか。
「―――もう一度だけでいいのね?」
「リンディさんっ!?」
てっきり止めてくれると思っていたのにリンディさんは、はぁ、とちょっと憂鬱そうなため息を吐いた後、なのはちゃんの意思を確認するように尋ね、なのはちゃんはリンディさんの問いにコクリと頷いてしまった。
なのはちゃんが望み、リンディさんが頷いてしまった以上、僕がとめることはできない。昨日に引き続き、クロノさんとなのはちゃんの模擬戦が実現してしまった。しかしながら、昨日、七回も連続で負けたなのはちゃんだ。何か秘策があるのだろうか。
「なのはちゃん……大丈夫なの?」
僕の心配そうな声を分かってくれたのだろうか、なのはちゃんは両腕でガッツポーズのようなポーズをとった後、笑いながら少し自信の見える笑みで言う。
「大丈夫だよ。だから、見ててね。ショウくん」
その自信の見える笑みに一抹の不安を覚えてしまうのだった。
◇ ◇ ◇
「なのはさん。今回は一回だけですからね」
『はい』
昨日と同じ
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