無印編
第二十話 前
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後で話し合うことにした。もはや額が大きすぎてあまり考えたくないが。
「それでは、これらの書類にサインを……」
「ちょっと待って、私たちはまだ了承してないわよ」
恭也さんたちの話し合いは終わったのだが、それに待ったをかけたのは月村家代表の忍さんだった。月村家はジュエルシードが一個だから額に不満でもあるのだろうか? と思っていたが、そうではなかった。
「私たちはお金はいらないわ。その代わり、欲しいものがあるの」
「聞きましょう」
忍さんが欲しいものがあるといったとき、少しだけリンディさんの目が細くなり、柔和な笑みの裏側に鋭いものが見えたような気がするが、忍さんはそれに気づいたのか気づいていないのか、平然と続きを口にした。
「あなたたちの技術の一部を要求するわ」
「そうですね。どういった類のものをご所望で?」
僕からしてみれば、それは盲点だったのだが、リンディさんはむしろ納得したように頷くとさらに深いところまで聞いてきた。それは、忍さんの願いを了承したということだろうか。
「具体的には、この紙に書いてある問題を解決するための技術ね」
もしかして、忍さんはこの流れになることを読んでいたのか、忍さんがちらっと横目でノエルさんを見ると、最初から用意していた紙を持っていたバッグの中から取り出して、リンディさんの目の前に差し出した。それは、いろいろ図が書いてあり、設計書といったほうが正しいような紙の束だった。
「拝見しましょう」
パラパラと紙の束を斜め読みするように見るリンディさん。
しかし、あれだけの資料を斜め読みしただけで理解できるのだろうか。いささか疑問だったが、僕の疑問など知らずに最後までリンディさんは資料を読み終えていた。
「細かいところは分かりませんが、本局に問い合わせて問題がないようでしたら、技術をお教えしましょう。ただし、その内容によってはお教えできないこともありますので、ご了承くださいね」
「ええ、分かったわ」
「ふぅ、これで謝礼については終わりですね。後は、これからのことですけど―――」
謝礼金の話が終われば、後は僕たちが予想した通りの内容だった。つまり、魔法はみだりに使わないこと。魔法世界について語らないこと。ジュエルシードを見つけても、時空管理局に報告して関わらないことなどだ。
僕たちのほうからも、彼らの要望を了承した代わりに、すべてが終わった後に知らせてもらうこと。アリシアちゃんのことで協力してもらうことなどを約束してもらった。
「これで手続きは以上です。お疲れ様でした」
すべてについて話し合いが終わった後、僕と恭也さんと忍さんがそれぞれリンディさんが差し出した紙にサインを求められた。内容は、お互いに契約内
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