無印編
第二十話 前
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だよ」
僕たちと同じく座布団に座ろうとしたアルフさんだけが、クロノさんに呼び止められていた。
「それでは、アルフさん。あなたは別件になるので、別室でお話を伺っていいでしょうか?」
「……分かったよ」
渋々といった感じでアルフさんは別室で話を聞くことを認めていた。
クロノさんに引率されて出て行くアルフさんの背中を見ながら僕は大丈夫だろうか、と心配になってしまった。時空管理局が警察のようなものと聞いたからだろうか。密室での取調べという言葉にいい思いがしないのは。昨日、クロノさんから感じた人柄からすれば、大丈夫だとは思うが、アルフさんも僕の家族の一員と言ってはいいほどに馴染んでいるので心配にならずにはいられなかった。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。事情を聴くだけだから」
僕の心配した視線を感じたのだろうか、湯飲みを傾けていたリンディさんが僕の内心を見透かしたような言葉を投げかけてくれた。
その言葉を鵜呑みにすることは、さすがにできないが、気休め程度にはなった。もっとも、万が一のときは、念話でも何でもいいから僕たちに知らせることを伝えてある。
「さて、それでは、話し合いを始めましょうか」
僕たちの手元にお茶とお菓子が運ばれた後、リンディさんの仕切りで僕たちの話し合いは始まった。
「まずは、現状把握からいきましょう。現在、ジュエルシードは、なのはさんが9つ。忍さんが1つ。合計10個のジュエルシードの封印に成功しているという認識でよろしいでしょうか?」
その問いに僕たちは頷く。
「通常、私たちの世界で、ロストロギアを回収していただいた場合は、ロストロギアの階級によって謝礼金をお支払いして、ロストロギアを引き取っているのですが……あいにく、この世界は管理外世界で、通貨が手に入りませんでしたので、金などの貴金属でお支払いしようと思うのですが、いかがでしょうか?」
リンディさんの言葉に僕たちは驚いていた。謝礼金がもらえるとは思っていなかったからだ。僕たちが活動したのはお金のためではない。動かなければ、僕たちと海鳴の街が危なかったからだ。僕の感覚でいえば、ジュエルシードは危険物で、どちらかというと早く引き取って欲しい代物だったのだが、まさか謝礼がでるなんて夢にも思っていなかった。
され、我らがリーダはどうするのか? と思って横目で隣に座っている恭也さんに話しかけてみる。
「……恭也さん、どうしますか?」
「いや、この展開は俺も予想外だ」
僕たちが事前に話した内容では、せいぜい魔法に関する注意を受けて、ジュエルシードを引き渡して終わりだと思っていたのだ。後は、せいぜい全部終わった後に僕たちにも教えてもらえるようにお願いするぐらいかと思っていたのだ。
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