無印編
第二十話 前
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これは会話の切っ掛けにしたものの事実だったりする。さすが、お菓子屋とはいえ料理に関わる人である。なのはちゃんのお弁当はまるで遠足のときのように色鮮やかで、見た目としても楽しめるようなものになっていた。
………もしも、これが友人のいないなのはちゃんのためにちょっとした切っ掛けになれば、毎日頑張っていたとしたら、母は強しという言葉が浮かばずにはいられない。もっとも、さすがに穿ちすぎだとは思う。いや、それほどまでに恭也さんの言葉が衝撃的だったのだが。
「………少し食べる?」
僕が少し考え事をしている間、顔を動かさなかったのをお弁当の中身をじっと見ていると思ったのか、なのはちゃんがはい、とお弁当箱を差し出してきた。そこにはまだなのはちゃんが手をつけていないおかずの数々が残っていた。
「それじゃ、一つだけ」
まさか、なんの興味もなく見ているだけでした、なんていうことはできず、僕は誤魔化すようにお弁当の中から卵焼きを一つ箸につまんだ。もちろん、まったく興味がなかったわけではないのだが。卵焼きを選んだのは、このおかずが一番、家庭の味が出ると思ったからだ。
口に運んだ卵焼きは、ふんわりとしていて僕の家よりも若干甘い味がしたが、甘すぎるというわけでもなく、素直においしいと思える味だった。
「おいしいね」
僕がそういうと、なのはちゃんも嬉しそうに笑ってくれた。
それはともかく、貰ってばかりも悪いので、僕は自分が食べていたお弁当箱をなのはちゃんに差し出した。
「お返し。なのはちゃんもお一つどうぞ」
「じゃあ、私も一つ」
そういってなのはちゃんが手を出したのはお弁当の定番であるミートボールだった。手作りと冷凍食品では、格が違うようで大変申し訳ないような気がしたのだが、なのはちゃんは笑って、おいしいね、と言うのだった。
その後は、放課後と同じように僕たちは昨日のテレビの内容や家で読んだ本の内容などを話した。お弁当を食べ終わった後も。幸いにして座っていた場所は、木陰だったため、実に快適だった。
昼休みも後残り二十分ぐらいになったとき、会話の途切れを見計らって僕は考えていた話題を口にした。
「ねえ、なのはちゃん。今日の放課後のことだけど………やっぱりジュエルシードのことは時空管理局の人に任せたほうがいいと僕は思うんだ」
今日の放課後、僕たちはもう一度、彼らと会うことになっていた。そこで、改めてジュエルシードの引渡しなどを行うことになっている。僕としては、そこでジュエルシードには完全に手を引きたいと思っている。なのはちゃんの希望には添えられない形にはなるだろうが。それでも、やっぱり、ジュエルシード集めは非常に危険だと思うからだ。彼らが来た以上、プロである彼らに任せるべき
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