無印編
第二十話 前
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ように画面の向こう側に写ったなのはちゃんがリンディさんの念を押すような声に答える。
そして、彼女と相対するのは、やはり昨日と同じ黒いバリアジャケットに身を包まれたクロノさん。彼の顔は、どこか戸惑ったような表情で、それでも仕方ないと、どこか諦めたような感情が浮かんでいた。
それもそうだろう。昨日、七回も連続で勝った相手に今日も相手にしなければならないというのだから。しかも、それが上司であるリンディさんからの命令では諦めるほかない。
しかし、どうしてなのはちゃんは今日も模擬戦を望んだのだろうか。昨日は、僕との時間であるジュエルシード捜索のための時間を取られたくないからだったはずだ。勝てば、このままジュエルシードが捜索できるから、と。しかし、今日は理由がない。あの契約書にサインした以上、僕たちはこれ以上、ジュエルシードに関わることはないのだから。
もしかしたら、けじめなのかもしれない。最後に気持ちの整理をつけるための。少なくとも兄である恭也さんはそう思っていた。だから、止めなかったとも。それならいいのだが、なのはちゃんの自信の見える笑みを見たときの一抹の不安は一体なんだったのだろうか。
僕の不安を余所に事態は進む。
「それでは、なのはさん、準備してください」
そう、クロノさんはバリアジャケットに着替えていたのになのはちゃんは、まだ学校帰りで聖祥大付属小の制服のままだった。レイジングハートもまだ宝石のままだ。
なのはちゃんは、リンディさんの声に促されたように胸元にぶら下がっているレイジングハートを手に取るとそれを掲げるようにして、小さな宝石を起動させるためのワードを口にする。
『レイジングハート――――セット・アップ』
その声と同時になのはちゃんは桃色の光に包まれていた。
―――刹那、ドクンと僕の胸が震えたような気がした。
「え?」
その鼓動を感じたのは、僕だけではなかったらしい。誰もがどこか動揺したような表情を見せていた。今の鼓動は一体? と疑問に思っていたが、答えはすぐに管制塔のオペレータをやっているエイミィさんのどこか焦ったような声で分かった。
「なに……これ? なのはちゃんの魔力増大っ! 魔力ランクS+……SS-、SS……まだ増大っ!」
管制塔が騒がしくなり、全員の注目が目の前のスクリーンに注がれていた。なのはちゃんのバリアジャケットへの換装が長い。いつもはすぐに光の繭は解かれるというのに今日に限ってはその繭の中身は中々姿を現さず、エイミィさんの魔力増大の報告だけが不気味に管制塔に響いていた。
やがて、ゆっくりと上から勿体つけるように桃色の光の繭が解けていく。
そして、中から姿を見せたのは、いつもの聖祥大付属小のような白いバリアジャ
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